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天気の子のRIOのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.0
16歳の男子高校生・帆高は、窮屈な離島の実家から異常気象で雨が続く東京へと家出する。都会の物騒さに翻弄されすぐに手持ち金も底をついてしまうが、ファストフード店でアルバイトの少女に食料を助けられ、更に行きの船で出会った須賀という男性にオカルト雑誌ライターとして住み込みで働く権利を与えられ東京での生活が始まった。そんなある日、ある事件を介してあのアルバイトの少女と再会し、彼女が都市伝説となっている「100%の晴れ女」であることを知る。もうすぐ18歳になるという彼女は陽菜といい、祈るだけでその場を快晴にする不思議な力を持っていた。

ずっと観ていられるほどの圧倒的スケール感を持った美しいアニメーション、音楽センスのよさや音響はすごく素晴らしかったです。声優も前評判ほど違和感はなくて、特に主役二人は瑞々しさが合っていたし、小栗旬もいい声だなと再確認。RADもバンドにハマり始めた中1くらいの頃大好きだったので世界観が安定してマッチしている楽曲達はとても楽しめました。鑑賞自体は苦じゃなくて、むしろのめり込んで観ていたのですが…ごめんなさい、ダメだった…。結末の賛否より、伏線放置や堀りの甘さと無理矢理な展開が疑問点でした。いくらアニメであれ、これだけ大衆受けしている映画ってそれを補って余りあるほどの小規模ではないし、深夜アニメやゲームのシナリオ規模ならまだ納得の範囲だったのかもしれませんが…。

新海誠監督作品は初鑑賞でした。「君の名は」はストーリーだけ聞いて合わなさそうと思っていたのですが、今作は予告で興味が湧いた所を誘われたので鑑賞。製作側の意図も賞賛されている点も理解してない訳ではないと思うのですが、論点の一つになっているラストのモヤモヤはただただ個人的な視点の問題かなぁ。エンドゲームで号泣した身からすると仕方ないのかも笑
そもそも監督の特色としても、思春期男子目線のボーイミーツガール・女性への憧れと神格化・若さゆえの行動力と伴う御都合主義らへんは切っても切り離せないもので、ファンの方にはそこが評価されているのでしょうが、そこが受け入れられなければ元も子もありませんよね…。もっと大衆ぽくて癖のない作品だからこその大ヒットなのだと思い込んでいたのですが、いわゆるセカイ系の物語でマイノリティなオタク構文で語れそうな内容なのに、相容れないはずの一般的な若者に難なく受け入れられてるのはちょっとびっくりです。上手いことエンタメとして昇華されているからなのかな?個人的には、そのオタク男子的理想論と大衆向けエンタメラブロマの融合がより違和感を醸しているように見えたというか、どっちつかずで散漫な印象を受けてしまいました。
登場人物に全く共感できなくて理解すら難しかったのが蟠りの一つなのかなと思うのですが、思春期真っ只中で無条件で共感出来るか、もっと大人で達観出来ている状態なら良かったのかなぁ、なんて考えてしまいました。うーん、でも単純に女ウケ悪そうな展開。若い子なんて自己中で結構!アニメに正論を求める方が間違っている!というのは大賛成なのですが、それにしても物語やディテールが全体を通して雑に見え、伏線と呼ぶほど掘り下げられていない事象たちはあくまで壮大な恋愛物語の装飾止まりに映ってしまいました。前作のキャラの出演もありましたが、カメオを超えていたのがくどく更に萎えてしまった一要因。見せ場も他アニメ作品のオマージュというか類似点を見てしまうものであり、ちょっと複雑な気分になってしまいました。
そもそも今作とわたしでは思い描いているゴールが全く違うから何も言えないのですが、何も大丈夫じゃないよ…。

今作こそ新海誠、という意見も多いみたいだし、もしかしたら「君の名は」の方が肌に合うのかな。
うーん、日本の著名なスクリーン系オリジナルアニメって苦手なものが多いのですが、その共通点を何となく見つけてしまったような気もしてしまう作品でした。
深夜アニメを始め二次元文化は大好きなのに難しい〜!
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