凡作の域を出ない作品でした。
美麗な作画はぶっちぎりの仕上がりですが、それだけでいいなら画集です。
さまざまなテーマや作家性などがあらわれているのは、いろいろな方の解釈や考察などで明らかになっていますが、結局のところ、お話としてゼンゼン面白くありません。
ストーリーのほとんどが偶然によって進展するため、これからどうなっていくんだろうという牽引力がこれっぽっちも強まりません。
鍵になる点だけでも、
銃 →偶然拾った。
ヒロイン→偶然会った。
能力 →偶然手に入れた。
と、すべて偶然です。
とくに銃が酷く、プロット上の都合(と作者の趣味、性癖、暗喩)だけで使われる始末です。
作り物なんだからそんなの当たり前だろうという意見もあるかもしれませんが、それを作り物と思わせないのが脚本の役目、プロの仕事であり、スルーしていいのは素人の作品だけではないでしょうか。
楽曲の使い方もストーリーの盛り上がりにブレーキをかける要因でした。
せっかく物語が盛り上がってきて、おお面白くなってきたぞ! と入り込めそうになった瞬間、まるで見計らったように歌を差し込んでくるので、その都度テンションがゼロに戻ってしまいます。
楽曲に共感できる人にはいいかもしれませんが、そうではない身からするとストッパーにしかなりませんでした。
オチや主人公の決断については賛否両論あるかと聞いていますが、それ以前にストーリーとしてちっとも面白くないので、むしろあまり気になりませんでした。
テーマや表現したいことそのものは、それほど突出したものではない、きわめて平凡なものなので、議論や解釈で盛り上がることもほとんどありませんでした。
エンターテイメントとしての質は決して高くなく、美麗な映像作品という印象がきわめて強い作品でした。
ただ観るのであれば映画館をオススメします。雨や街並みなどの美しさは大スクリーンでこそ映えます。