ひかる

天気の子のひかるのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.2
「秒速五センチメートル」と「言の葉の庭」が刺さらず、面白くない印象でしたが、前作「君の名は」と本作「天気の子」で覆りました。とっても好きです。
彼らは居場所が無いんですよね。もちろん、社会的に見れば、帰る実家もあれば児相のような国のセーフティネットがあるんですけど、彼らにとってその選択肢を取るのは論外。元の道へと諭す大人らは不理解で、障害にしかなり得ないのは若い子の生きる世界故ですね。
ストーリーはローファンタジーですが、抵抗なく受け入れやすいのは日本の神道と結びついていたからでしょうか。廃ビル屋上の神社、古寺の天井絵、巫女、彼岸の火またぎ。天気というものそのものも自然現象である一方神秘性を持っていて、非現実的な出来事の連続であるにも関わらず飲み込めてしまうのは、そこに一貫性があったからでしょうかね。そういえば「君の名は」のキーアイテムも神事に祀られた口噛み酒でしたね。
いわゆるセカイ系の、女の子が神的力を得ていて、男の子は無力だけれど救いたい、それが世界を滅ぼすことになってもという王道パターンですが、物語の結末は非常に良い着地点だったと思います。リアルに考えると日本経済は大打撃ですけど、劇中の人々が前向きだったのでそれでok、解決なんですね。
ただ、本作は彼らに立ちはだかる敵、ヒーローに与えられた試練に魅力が乏しく、だからこそ再会のドラマティックさが目減りしてしまったように感じ、そこ一点だけ残念に思いました。
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