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天気の子のYMのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
1.1
絵はとってもよかった。
内容は新海誠だった。

天気の子のヒロインって、天気の子としての映画の小道具で、そこに人生とか魂が感じられなかった。かわいいけど、かわいいだけ。
ヒロインにも主人公と関わらない所に人生があるはず、天気の子として以外の人生があるはず。

だけど主人公と並行して見た夢を語るシーン、主人公は島の思い出を語るのに、ヒロインは主人公と会ってからの話をする。
ヒロインの人生については一切触れられず、ヒロインは終始天気の子であり、それ以外の何ものでない。
だから、最後にヒロインと再会するときに主人公が言う言葉「あのとき僕たちは本当に世界を変えた」(うる覚え)は、三年ぶりに再会する恋人を思いやる言葉というより、天気の子を思う言葉になる。

主人公も感情移入できる要素がない(なぜ島から出てきたの?)

そういう、極限まで関係ない所を削ぎ落としたのが、新海誠のスタイルなのかもしれない。
天気の子のヒロインが魅力的という人もいる。

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ここからは新海誠への文句

田舎から出てきた主人公が東京で女の子に優しくされるみたいなストーリーに、新海誠の欲望みたいなのを感じてしまう(新海誠自身が長野出身)。
(凪くんを人柱にして)中学生の女の子にラブホでバスローブ着せるのとか正直ドン引きだった。

自分には東京への憧れみたいな気持ちは分からないので、それが新海誠の作品が理解できない一つの理由だとは思う。
ただそれにしても、新海誠の作品から漂う監督自身の欲望についていけない。

ただ、絵はすごくよかった。東京の好きな場所オンパレードで、勝どき橋やサルビア丸でゴールデンゲートブリッジをくぐる瞬間の楽しさ、お台場、外苑前、新宿。東京の素敵さが描けていてそれは本当によかった。
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