Yuma

天気の子のYumaのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
3.8
まず率直に天気の描写、画力、街のキリトリ方が途方もなく凄いという事は間違いなく言えると思います。
今ちょうど梅雨明けしたばかりなので、先週位までに見てたら長雨の感じも相まってもっと感情移入出来たかもしれません。

雨粒や雲の質感だったり、時々合間から覗く晴れ間の美しさが、もはや前作君の名は、でも監督の十八番と言っても良い、見慣れた東京の街を彩る事で、なんとも鮮やかな現代東京風景映画としても記念として未来に残したいと言えるし、天気の子っていう天気が主役の映画としてこれが達成できてれば、かなりの評価点には達していると言って良いかと思います。
さらにこれも監督の得意技の一つでもある映像と音楽のマッシュアップで強引にこっちの気分を高めてくる手腕は流石と感じました。

この作品で最も好きなシーンは、中盤の後半くらいで苦難の末に主人公たちがようやく団欒の時間にありついた時、ご馳走と言いながら食べているものの、それが今の日本の現状を物語っている、見てて最も心打たれるシーンです。

逆に気になったこととしては、一番大きな欠点と言っても良いかもしれませんが、主人公のホダカが社会=大人と対立する原因が、家出少年である事と拾った拳銃問題なわけですが、別に天気の子とは全く関係ないので、ヒロインのひなが背負った業に対して解決がちぐはぐな印象になっているように感じました。
何かそこに結びつくものがあれば良いのだけど。

関係して、ひなやなつみと言ったヒロインたちがほだかに対して終始あまりに都合の良い事しか言わない人たちである事が、なんか嘘くさいというか、気持ち悪い感じを覚えます。
世界はそんなに優しくはないです。

最後の結末については、フィクションなのだからこれくらい振り切った表現っていうのはそれ自体は全然ありだと個人的には思います。
でもどうせやるなら、そうなったらが故の社会の変化を絵で見せて欲しかった。
例えば雨具の進化とか、生態系の変化とか、そういうのがあったらもっと味わい深い印象で終われたかなと感じてしめくくりました。

細かいことですが、仕事ネットでとってきたりはできるのにホテル探しは足で回って断られてるのって、演出のための演出みたいで冷めます。

しかし、季節的に今時期にみるのは良いと思います。
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