口卜

2分の1の魔法の口卜のレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
3.1
 兄弟は二人で一人の魔法使いだ。
 
 科学が発達し法が消えたことによりゴミ捨て場では野良ユニコーンが闊歩し、妖精は飛び方、ケンタウロスは走り方を忘れた世界で、
内気で気弱な典型的陰の者、弟のイアンと主語のでかいフリーター、兄のバーリーは下半身のみ復活した父親の完全復活のため日帰り冒険へ繰り出す。

  冒頭で魔法がすでに過去の物であると語られるが、場面によってはおとぎ話のように扱われてるかと思えば最近のように話される場面もあったりとかなり差異がある。
 その辺りは種族によっての寿命とかが関係しているモノと勝手に補間することとする。
 世界観自体はキャラクターデザインも相まって親しみやすく、様々な魔法を駆使して困難を超えていく道中やこれまでの集大成をぶつけたラストバトルなど楽しい場面もいくつか散見される。

 物語は内気な弟と強気な兄が様々な逆境を共に乗り越え成長していくという王道なストーリーかと思いきや、実際は作品内のトラブルの大半が兄の手によって引き起こされその尻拭いを弟が行うという苦労話であり兄のバーリーは引っ込み思案を直そうとする弟へ無自覚な邪魔を行ったり、正論をぶつけらると不機嫌になるなど見た目は大人、中身は子供というかなりのトラブルメーカーであった。
 
 上記のような立ち振る舞いからバーリーに対する印象は良くないものであったが、逆にこの作品内で成長したのが弟・イアンでなく兄・バーリーとすればどうだろうか。
 幼い頃に父親と死別したトラウマから現実に対して立ち向かう勇気が持てず空想の世界に浸り、やっと空想が現実になるチャンスが来たと思えば選ばれたのは弟の方であった。
 それでも弟に嫉妬することなく兄として弟を支え冒険の中で大事なものを失いながら現実と向き合っていく姿に人々は心を…
打たれんわ。
 最初から最後まで周りを振り回しそれをすべて許されるという厄介なキャラですわ。

 そのためこのバーリーと言うキャラをどう捉えるかでこの作品の好き嫌いが分かれるのでは無いかと思われる。
 


 
 

 



  
 
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