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2分の1の魔法のnanaのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
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天下のピクサー最新作とはいえ、主人公のキャラクター造形といい、物語といい、どことなく地味目な印象があり、更にはコロナの影響をかなり喰らってしまった作品です。
話題になっていたのは物語の内容そのものというより、「クリプラとトムホのMCUコンビが声優をやっている」という点でした。
公開延期のせいで、今作の予告を何度映画館で観たか分かりません。
とはいえ近年のディズニーによる既存作品の続編、プリクエル、実写化だらけの現状を考えると、こういったオリジナル単発作品は応援したくなるのが人情というものです。

「自分はこうだと思って決めつけていた(何なら見下していた)、周りにこう思われていた人が、実はこんなに素敵な人だった、間違っていたのは自分の方だった」という見方の変化は、良いピクサー作品に通じるメッセージだと思います。

「自分でなく、他者の幸せの成就を願ってそれを実行することはきっと素晴らしいことである」という今作の着地はここまでメジャーな大作では結構珍しいものなのではと思いましたが、ここがこの物語をより忘れ難い、良いものにしています。

実際の仲良し度が分かるような主演ふたりの兄弟感、ワイワイ感はもちろん、マンティコアのコーリーを演じたオクタヴィア・スペンサーの声も絶品でした。
少し前だったらこの役はウーピー・ゴールドバーグあたりがやってそうだななんて思ったり。

次作のソウルフル・ワールドも素晴らしいものでした。
改めてピクサーの底力を思い知らされます。
今後はどんな作品を届けてくれるのでしょうか。
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