幼い頃に失った父親との再会を心から願う弟と、ファンタジーの主人公になって魔法を使うのが諦め切れない兄がお互いの夢を交換する。
みんなにバカにされている兄が、実は一番孤独で最後に報われるという筋に泣いた。
メタ父親映画で、父を早くになくした兄弟が下半身しかない父親を連れて全身を取り戻す旅に出る。
父親とは家族の外からやってくる災難から家族を守る役割を担っているはずだけど、という前提から入って、つまり父親のいない家族は極端にリスクヘッジに神経質で不安症の社会を描く。
理由のない災難を自分の身体で引き受けることができない人、どうしたらそれができるようになるか、成熟の物語。
マンティコアの女主人がなかなかよかった。かつては自ら危険を顧みない英雄だったが今は、客のクレームと税金と給料の支払いに奔走する自営業者。冒険とは、危険を引き受けるとは、「父親」とはなにか、意外と彼女が一番考えさせる。
