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黒い司法 0%からの奇跡の本を読むたぬのレビュー・感想・評価

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
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終盤は感動でゾワっとした。絶望的状況がしっかりと描かれているからこそ、Bryan Stevensonの'Hopelessness is the Enemy of Justice'という言葉の背負うものは重く、それでいて明るく光る。この件が本になり、こうして映画化されたのは、たくさんの人の勇気ある行動あってこそである。しかし、そのほとんどが本来は必要なかったはずの勇気であることもまた事実である。ひとつの過ちを正すためにはたくさんの勇気、人によっては自分自身を窮地に追いやることを伴った勇気が必要になる。まして、過ちに過ちを重ねて、もはやそれが過ちかどうかもわからない、言うなれば過ちが当たり前になってしまった世界に亀裂を入れるにはさらに多くの勇気が必要になる。過ちを一つも起こさないことはおそらく不可能である。が、自分の選択や行為に疑念を抱いたその時に立ち止まり、その過ちに新たな過ちの層を重ねないように生きていきたい。