けんぼー

黒い司法 0%からの奇跡のけんぼーのレビュー・感想・評価

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
3.9
2021年鑑賞116本目。
「正しさ」を勝ち取ることがこんなにも難しいのか。ダブルミーニングの邦題が秀逸。

『シャン・チー』公開記念にデスティン・ダニエル・クレットン監督作品を復習しようということで、これまで『ヒップスター』『ショート・ターム』『ガラスの城の約束』を鑑賞してきました。
2020年に劇場ですでに鑑賞していたので、レビューもしているんですが、昨年自分が書いた文章が拙すぎるので改めて追記しようと思います。
一応昨年レビューしたものも消さずに残しておきますが、、、、笑

さて、これまでのデスティン監督作品で描かれてきた「親子」「家族」の物語。
本作はそれらとは違う方向性の作品と捉えられやすいかもしれません。大きく括ると「人種差別」についての物語だからです。
でも、ちゃんと「家族」の物語でもありました。

「マイケル・B・ジョーダン」演じる主人公の弁護士「ブライアン」と、冤罪によって死刑囚となった「ジェイミーフォックス」演じる「マクミリアン」が裁判で無罪を獲得するべく奮闘するのですが、とにかく人種差別描写が胸糞悪い。
白人警官のブライアンたち黒人に対する横暴ぶりは見てるだけでムカムカしてきます笑。囚人に面会に来ただけのブライアンにボディチェックのみならず、全裸にさせて「ケツを突き出せ」と命令するシーンとか。

しかも、警官の態度だけが差別的であるならばまだマシなのですが、裁判所までもが明らかに黒人差別をしてくる始末。これだけの証拠があれば真偽のやり直し決定でしょ?という場面でも頑なにそれを拒否する司法。司法がこんな感じだったら人間は何を頼ればええんや。全く救いがない。こうして序盤の「ムカムカ」はやがて「絶望」に変わっていくんですよね。

原題は「Just Mercy」(「ただ、慈悲を」的な?)なのですが、邦題は「黒の司法」。
私は基本的に「邦題アンチ派」なのですが、本作の邦題は黒人差別の「黒」であり、司法のダークサイドの「黒」をかけた秀逸なネーミングだと思いました。

何度も壁にぶつかって、これはもう無理じゃね?って状況になっても、諦めずにマクミリアンを助けようとするブライアン。
ブライアンの姿は、これまでのデスティン・ダニエル・クレットン監督作品で登場してきた、主人公を助ける「ただそばにいてくれるだけ」の人よりは積極的に誰かを救おうとする「ヒーロー」的な立ち位置になっています。
ただ、マクミリアンの無罪を信じる彼の家族や仲間たちが、法廷の傍聴席で(しかもここでも差別されて立見を余儀なくされる)、ただただマクミリアンの姿を見守る姿は、まさにマクミリアンを信じて「ただそばにいてくれるだけ」の人。やはり共通するテーマを感じることができました。

あと、本作でも「ブリー・ラーソン」がちゃんと?出演。ほぼ皆勤賞ですね。
しかも『ヒップスター』主演の「ドミニク・ボガート」もブリー・ラーソンの夫役で出演。『ガラスの城の約束』にも実は出演しているボガート。『シャン・チー』にも出てほしかった。

事実の物語ですけど、これが本当にあった出来事って怖すぎる。

ブライアンとマクミリアンの闘いの行き着く先に、きっと大きな感動が待っています。

「家族」「親子」「そばにいてくれるだけの人」そして「人種」。
『シャン・チー』で描かれた要素がこれで揃ったような感覚になりました。

----------------------------------------
2020年鑑賞62本目。
やっぱマイケル・B・ジョーダンはカッコええ!諦めずに差別と戦う男の胸スカ物語。

黒人差別ものの映画といえば最近ので思いつくのが「グリーンブック」。黒人差別は現代でも世界的には問題になっていて、歴史の中でも酷いことが行われてきたため、これまでの映画でも何度も題材になってきたし、今後も作られていくだろう。ただ、私を含め日本人にはあまり馴染みのないため、肌感覚として理解することは難しい。頭ではわかっているつもりでも。
しかし、今作はそんな黒人差別の知識があまりなくても、単純に法廷ドラマとしてみても面白い。絶対にもう無理やん!って状況まで追い込まれても、諦めずに自分に出来ることをしていく主人公の信念の強さに感動し、胸がスカッとする映画。個人的に黒人俳優の中で好きな2トップ、マイケル・B・ジョーダンとジェイミーフォックスの共演もアツい。
でもやっぱり、劇場を出た後のお客さんの中には「よくわかんなかったね」と言っている人もいた。
あと、マイケル・B・ジョーダンとブリー・ラーソン見るとMCUを連想しちゃう。

2020/3/1鑑賞
2021/9/12鑑賞