Punisher田中

21ブリッジのPunisher田中のレビュー・感想・評価

21ブリッジ(2019年製作の映画)
4.0
19年前、父が殉職し、父と同じ正義の道を歩むことを誓ったアンドレ刑事は、ニューヨーク市警の殺人課で忙しい日々に忙殺されていた。
そして、午前0時13分 真夜中のニューヨークで事件が発生する。
退役軍人のマイケルとレイは、ブルックリンの店のワイナリーに隠されているコカインを盗み出す仕事を請負っていた。
しかしその場にあったのは、彼らが事前に聞いていた量の10倍にもなる300kgの大量のコカイン。
マイケルが不審に思う中、突然警官隊が突入。激しい銃撃戦となり、強盗2人組は約50kgのコカインを手にして、その場から逃走するのだった。
逃走の際、7人の警察官が殺害され、1人が瀕死の重傷。
凄惨な事件現場に到着したアンドレは、犠牲になった仲間達を見つめ、冷静に捜査を始めるのだったーーー。
CIAの協力の元、ブルックリンから架かる21の橋を封鎖し、明朝5時迄に犯人を逮捕しなくてはならなくなったアンドレ。
果たしてアンドレは犯人を逮捕できるのか?
そして、この事件に関わる深い闇を暴くことができるのか?

「正義」に取り憑かれた男が真実を暴く、重厚なサスペンス作品。
午前5時迄に犯人を逮捕しなければならないというタイムリミットや、21の橋を封鎖するといった要素を少し活かしきれていないのは残念であり、荒さが少し目立つ脚本だったが、話が2転3転し、クライマックスに作品に感じていた鬱憤を晴らしてくれるような怒涛の展開があった為に、結構楽しめた印象。
しかし、今作はチャドウィック・ボーズマンの魅力99%で製作された作品であり、確かにルッソ兄弟が製作に携わっているから「脚本が〜」だとか「重苦しい〜」だとかあると思うが、そういったものは心底どうでもいい。
チャドウィック・ボーズマンが目の前で躍動している所を見ているだけで充分に満足、もう満足度150%。

逆に今作はチャドウィック・ボーズマン以外の俳優が主演だったらまず成り立たないだろう。
ここまで「正義」に生きるアンドレを演じるのに似合う男はMCUヒーロー達の中でも正義感が強かった「ブラックパンサー」を演じた事があるチャドウィック・ボーズマン以外にはまず考えられない。
やはり、ブラックパンサーを演じた経験があったからこそ「正義」に生きる人間をチャドウィック・ボーズマンの演技がしっくり来る。
アンドレというキャラクターも父がヤク中に殺害され殉職し、父の葬儀を経て""正義に生きる事""を呪いの様に引き継いだというバックがあったからこそ、ストイックに正義・真実を追い求める姿に強い説得力が感じられたのだろう。

実はチャドウィック・ボーズマン、今作の出演料の1部を共演していたシエナ・ミラーの出演料に充てていたということだった。
人としても、俳優としてこんなにも素晴らしい人を失ったのは本当に惜しく思う。
チャドウィック・ボーズマン本当にありがとうございました。
謹んでお悔やみ申し上げます。