てつこてつ

火口のふたりのてつこてつのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
2.5
原作は読んでいないので、実際はどんなジャンルの文学に入る作品なのか凄く気になってしまいWikipediaをチェックしたところ、官能小説かと思いきや、原作者が東日本大震災をきっかけに生きることの意味を再び見つめ直して執筆した作品とな!!

少なくともこの映画版からは伝わる事が何も無いよ・・。

結婚を間近に控え、かつての彼氏でもあり従兄弟という血縁関係もある男を誘って身体を重ね、その後は男のほうから彼女の家に足繁く通い始め、会う度に肉体関係を結ぶ男女・・。

「あなたの身体は私にとってまるで蛇なの。だからあなたに抱かれると心底燃える・・」なんて台詞をヒロインが口にするのは、確かにある程度の年齢になった大人なら男女の関係では身体の相性も相当重要な事くらい理解できるけれど、いかんせん、この作品内で執拗に描かれる性行為の描写が欺瞞に満ち満ちていて全く説得力がない。

アダルト映画ではなく、一般作品なので疑似行為なのは当たり前だとしても、あまりにもぎこちなく、女性のオーガズムの「お芝居」が痛々しいほど。瀧内公美は素直に美しいし全裸を厭わぬ女優魂は買うけれど、柄本佑とは恐ろしいほど相性が悪い。耽美的でもなければ淫靡でもなく、ただただ淡々と嘘の演技が披露され続けるのは、性行為描写はこの作品の重要なファクターなので視聴者としても苦痛。

中盤までのメリハリが無くボソボソと語り合う台詞回しも、まあ普通の男女間の会話としてナチュラルと言えばそうだけど、所々、肝心な部分が聞き取りづらい・・。

でもってして、終盤の富士山爆破の下りから、突然にヒロインの台詞が舞台調にガラリと変わるのも如何なものか?

でも、これ、キネマ旬報が選ぶ日本映画第1位なんだな。余程、自分に鑑識眼が無いのか、単なる作品との相性が悪いのか・・
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