またたび

火口のふたりのまたたびのネタバレレビュー・内容・結末

火口のふたり(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

主演の柄本佑と瀧内公美がかなり評判が良いというのとR18指定という知識のみで鑑賞。
最初の柄本佑の冴えない感じと映像の雰囲気からいい感じと思っていたが、タイトルバックのモノクロ写真からおっ!とエグいR 18指定らしい映像が満載だが、アラーキー的な写真で不思議と嫌な感じはしない。バックに流れる歌が懐メロ歌謡!そーいうテイストなわけねと予想を裏切られてゾクゾクした。このとき私は、アン・ルイスのグッバイマイラブを思い出していた(こちらはなかにし礼作詞だが。)

登場人物は主演の二人だけ(柄本佑の父親役の電話の声が本当の親父の柄本明なのは👍)なのに、ぐいぐい話を進める力は凄い。脚本が良くできているんだろうなぁと感心した。ロケーションも秋田という地方なのが良い。
柄本佑がめちゃくちゃ良い!!彼は風貌から名バイプレーヤーの感が強いが、ダメ男感がリアル。うまいなあ。だけど実物見たらきっとカッコいいに違いないと確信した!背は高いし顔も小さいスタイル抜群!!瀧内公美さんは凪のお暇で認識したが、よくぞやり切った!二人のカップルバランスめちゃくちゃ良かったです。

田舎で一緒に生活していた従兄弟の間柄で東京に出て男女の関係になってしまった二人が後ろめたさを感じながらある事をきっかけに別れ直子は田舎に戻る。その二人が直子の結婚の知らせで賢治が帰省して再会するところからストーリーは始まる。
評判どおりR 18指定らしいシーン満載ですが、性のエネルギーを富士山の噴火口で象徴的に表現するなど単なるエロで終わらせないところはさすが。性は生に繋がるものだと意識させられる。

実は私の両親もいとこ同士だった。しかも、父が小学6年、母が小学5年の時に父が母の両親である叔父叔母のところに養子にきて兄妹として育ってきた。
その父が今年亡くなって色々思い出していた。両親の関係は子供の頃から知っていたが、やはり二人の結婚は両親には反対されたらしい。兄姉の説得で許されたらしいが。数年前の話しだが、両親の事を伯母から聞いたが、いつも一緒にいる両親を祖母はそうなるのでは(結婚したいと言い出す)と心配していたそうだ。
直子の言葉に賢治と血が繋がっているからこその安心感や縁を切ることができないというのがあったが、まさに私の育った核家族の家庭は他人がおらず、普通の家庭とは違かった(ということに中学生の頃に気づいた)。両親はとても仲が良く幸せな家庭で育った自負はある。が、普通でない両親の仲の良さは、普通でない私を作り上げたと思う。良い意味でも悪い意味でも。
スクリーンで繰り広げられる官能的なシーンを観ながら両親の事を思い出すという(両親の官能的なシーンを思い浮かべたわけではない!)不思議な感覚に囚われながらラストへ。
ラストのくだりの二人の関係はちょっと残念。
私は過去は過去として前に進むのが好きなのだとこの映画を観て痛感した。同じ感覚を持った映画があったけど何だったっけ。

それでもこの作品の力強さは色あせる事はない。