きむら

火口のふたりのきむらのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
-
富士山の火口で自殺した(と思っている)日に別れたいとこの二人。直子(瀧内公美さん)の結婚式に再会する。

 人間らしくあることとは、寝て食べてセックスすることなのか。3大欲求を満たし続ける彼らにも確実に理性は存在する。
 けんちゃん(柄本佑)は時折政治的なことや社会問題について口にする。最初のシーンでも何かしら本を読んでいる描写がある。
 なおこの方も世界について理性的に捉えてしまっているために諦念が強く、達観している。
 そんな理性を忘れることができる瞬間が、二人のセックスである。お互いがお互いでなきゃいけない理由が存在していて、だからこそ美しいと思う。

 祭りがかなり象徴的なのだが、亡者のくだりがある。自らを亡者だと思っている二人が、亡者の列を横切る。それは亡者が受肉したということなのか、あるいは成仏されたように思う。だから最後富士山は噴火して二人は長い間、ずっとかもしれない、一緒に入れることになったのだ。(その後のバーのシーンでも亡者が彼らの世界に存在している)卑近な言い方だが、生死がわからなくなる感覚というのがこの映画には常にあって、それが特に現れているのが祭りでそこから世界と彼らの関係は逆転するのが、美しくて詩的だった。