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記憶屋 あなたを忘れないのkuuのレビュー・感想・評価

記憶屋 あなたを忘れない(2020年製作の映画)
3.7
『記憶屋 あなたを忘れない』
映倫区分G.
製作年2020年。上映時間105分。
織守きょうやの小説をHey! Say! JUMPの山田涼介主演で映画化プチホラーサスペンス調の邦画。
ヒロイン・真希役に芳根京子。
遼一の記憶を失う恋人・杏子を蓮佛美沙子、弁護士・高原を佐々木蔵之介がそれぞれ演じる。
監督は『ツナグ』の平川雄一朗。

大学生の遼一は年上の恋人・杏子にプロポーズするが、その翌日から彼女と連絡が取れなくなってしまう。数日後に再会した彼女は、遼一の記憶だけを失っていた。
信じられない思いの遼一は、人の記憶を消せるという都市伝説的な存在「記憶屋」のことを知り、大学の先輩で弁護士の高原に相談して杏子の記憶喪失の原因を探り始める。
幼なじみの真希や高原の助手・七海らと調査を進めるうちに、人々の中にある忘れたい記憶やその奥にある思いに触れていく遼一だったが。。。

今作品を見始める前は、時と共に忘れちまった、若しくは消え去っちまった記憶を、何らかのテクで取り戻してくれる怪しげな職種が出てくんのかと思いました。
しかし、それとは真逆で思い出したくない記憶を消すテクを使う、人の記憶を消せる記憶屋ちゅうヤツがいるらしいってお話の展開でした。
あたたかさに包まれる作品でした。
しかし、それは小生の個人的見解で、誰の視点で見るかによって、感想が異なる作品じゃないかな。
人としての情が彼方此方に見えて、誰が悪いかなんて云えない切ない話でした。
記憶についていろいろと考えさせられる作品でもあるかな。


今作品とは関係ない話で作り話を一つ。
一人の青年がコーラのプルタブの輪っかの方をもって恋人に青臭いプロポーズをするサブっ。
ところが、出てきた女子は嬉しさよりも戸惑い隠せない顔をして部屋に戻り、スマホで彼にTELをかけた。
『また、爺ちゃんなの。 
昔のことを全部忘れて、私をお婆さんやと勘違いして。。。』
プロポーズし、結ばれ、子をもうけて、そして、子は飛び立つ。
爺さんはその記憶を無くしてしまったことを思いだし、がく然として立ちすくむ。。。
記憶。
思い出は、かけがえのない人生の宝。
一方、記憶力の悪さに困っている人は大勢いる。
一生懸命記憶して暗記したモンを、一晩たつと、見事に忘れてしまうことも小生はしばしばある。
心理学の研究によると、記憶てのは、覚えた直後に急激に忘れていくことがわかってきたらしい。
急激に70%~80%割忘れ、ほんで記憶に残ったものは、その後長い時間が経ってもなかなか忘れない。
今、過去無数にあった出来事のほとんどを忘れてます。
でも、ある一定の時期にあった出来事を明確に覚えてる事もある。
たぶん、この先、それはずっと覚えていると思う。
凡人は、記憶力のなさを嘆くが、記憶力が高すぎることを悩んでる人もいる。
そんな人にとって、覚えることはそれほど難しくありませんが、忘れることができない。
ささいな事でも覚えたことが、いつまでも忘れることができず、混乱すると思う。
覚えてしまった内容を一生懸命努力して忘れるために時間を費やす。
物忘れも、人生の恵みの一つかもしれへん。
それを、あるテクを使い可能に出きるなら、記憶の天才だけではなく、皆各々忘れたい、黒歴史や出来事がある。
記憶には、感覚記憶ってのがあり、一瞬だけの記憶のことです。
街中ですれ違う見知らぬ人の顔、一瞬目に入るけど、記憶に残ることはあまりない。
流れすぎて忘れていきます。
また、短期記憶てのもあり、何か被写体を見て、それを模写するとき、絵の上手い下手は抜きで、被写体を描くときは覚えてるけど、すぐに忘れて、必要なときはまた被写体を見る。
これは、10秒ぐらいの短い記憶。
数字でいえば、普通7つ前後しか覚えられへん。
そして、長期記憶てのがある。
日本人の子供の多くがが九九を覚えています。
九九を覚える道のりには、覚えてはすぐに忘れ、また覚える。
こうして繰り返していくうちに、もう忘れなくなる。
これが、長期記憶。
この長期記憶に忘れたい記憶が詰まってる。
つまり、忘れたいと思ってる事の方が、頭ん中で反復してることになる。
記憶のメカニズムは、例えばパソコンに何かを記憶させる時、人の言葉が、パソコンのデジタルなデータに変えられる。
そのデータが、フロッピーやハードディスクに蓄えられ、そして、必要なときには、データを検索して情報を呼び出す。
人の記憶も似ている。
まず、脳に記憶できるよう符号化され、その記憶が、脳に貯蔵される。
必要なときに検索されては出てくる。
記憶できないのは、そもそも符号化に失敗していたことになる。
一文字違いで間違えた場合とかは、貯蔵している間に記憶が変形してしまったわけっす。
嗚呼、喉元まで出とんのにって思い出せないのは、検索に失敗したわけっす。
好きな俳優のスマホIDを知っていますか?って問いには、熱烈な?怖いストーカーか詐欺師以外は、考えるまでもなく、知らないと答える。
ランダムに数字やアルファベットをおしても、IDが合うことは人間の手ではムリがあるし、そもそも知らんのやし分かる訳ないと、常識でわかるからです。
この人間の検索力てのは、ヤバく素晴らしい。
機械だと順番に調べていって、最後まで調べて、ようやく
有りまへん
と回答が出るのやから。
また、記憶が変化していくちゅうのも、人間ならでは。 
たいてい、自分に都合の良い記憶になったり、美化されたりする。
ほんで、人には記憶の錯覚ってのがある。
デジャブー(既視感)。
生まれ変わりだとか、タイムリープだとか、いろいろ想像力を発揮したいところやけど、今んところ心理学的には、記憶の錯覚。
とはいっても、デジャブーってやつは不思議な感覚、よくある。
それと、作られた記憶てのがあるかな。
クレイ(宇宙人)に誘拐されて宇宙船にのったちゅう記憶を持っている人がいる。
しかし、記憶にあるからといって事実とは限らへん。
記憶の中だけでストーリーが出来上がってしまうことがある。
嘘でも冗談でもなく、本人にとっては本気と書いてマジ。
米国の某心理学者は、記憶研究のために、
- 宇宙人に連れ去られたことある人求む -
なんて新聞広告を出した。
集まった人たちは、普通の人たちやったそうです。
宇宙人に誘拐されたことがあるという奇妙な記憶を除けばやけど。
米国じゃ作られた記憶がもとで、裁判になった事例もある。
ある女性が心理療法を受けているうちに、むかし父ちゃんにレイプされ、2度も人工中絶を受けていたことを思い出した。
ところが、医者が診察してみると、彼女は男性経験はなく、もちろん妊娠などしたことはない。
自分の願いや不安、イメージ、人からの誘導質問や暗示などによって、記憶が作られてしまうことがある。
裁判の証人の記憶にも、その危険性がある。
早くこないな事件を終結させたいって使命感から思い込み証言したり。
裁判員制度の日本でも、大切なテーマやと思う。
映画『トータルリコール』は、作られた記憶がプロットやった。
(リコールは、心理学用語では、記憶の再生という意味です。)
人の思い出には、楽しかった思い出もあれば、辛かった思い出もある。
また、各々に苦労した人もいりゃ、楽してきた人もいる。
せや、NHKのドキュメンタリーで、様々な経験、世代の人を調べてみた結果、どの人も、楽しい思い出が6割、中間的な思い出が3割、辛い思い出が1割だったそうっすが、これは肯定出来ひん。
人々は己の経験を心の中で整理し、どの人も6割の楽しい思い出を作っているそうです。
楽しく素敵な思い出を作るためには、普段から心を整え、感受性を豊かにしておくことが大切なんかな。
長ったらしいこと書いたけど、映画も豊かな人生を歩むためのスパイス(隠し味)になってると信じたいし、忘れたくない作品は沢山あるかな。
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