キナ

AI崩壊のキナのレビュー・感想・評価

AI崩壊(2020年製作の映画)
3.9
描写はダサい。けれど、本筋は面白い。が、演出はダサい。しかし、話自体は結構面白い。さりとて、モチーフは至極ダサい。とはいえ、なかなか面白い話ではある。だというのに、台詞もダs…(以下エンドレス)

AIの反乱、人間への攻撃。
2020年の今、すでに使い古された題材にも思えるが、ここまで社会的に影響の大きい事件を描いた作品はまだ数少ないのではないだろうか。総理が死ぬとか、ねぇ。

医療AIを発展させて社会に深く組み込んだからこそ、AIの崩壊はインフラの崩壊になる。
そのパニック感がとても良かった。
緊急事態に著しく下がる民度もリアリティがある。

テロリストとして追われる開発者桐生。
サイバー警察を相手に、プログラムにプログラムをぶつけていく逃走劇の行方がかなり面白かった。
システムのこともプログラムについてもハッキングに関しても、私は全くの無知だけど、だからこそ楽しめる部分も大きいのかも。
相も変わらずハッキングというものは万能なようで。

クライマックスのあまりのダサさには頭を抱えてしまったが、その反面、痛快なかっこよさも感じた。
あの曲面でベラベラ喋りだすバカは置いておいて、桐生とhope職員の一生懸命さは胸打つものがある。

泥臭い根性のある女刑事とクソセクハラジジイ刑事のコンビがだいぶいい味を出していた。
AIを操る捜査と自らの足と推理で駆けずり回る捜査のコントラスト。
この作品の中ではかなり偏った描かれ方をしていたけれど、もう現実世界でもこれに近いことは起きているんじゃないかと思う。
どちらも友好的に、有効的に、融合的に、活用できたら良いのよね。

それにしても、生まれた理由が明確にあるAIは面白い。
生まれた理由なんてわからないまま、ただ生きているだけの人間とどちらが価値があるだろうね?
…なんて考えてみたけど、どう考えても私は私が一番大切だし、生まれた理由なんかよりも今生きていて楽しいことが何よりも価値のあることだと、すぐ結論に至った。

国家は破綻している。
日本の今の状況を考えると、その言葉には現実味がある。
この作品の中で語られる2030年の日本はかなり的を得ていると思う。

「合理的な判断」は理論的には間違っていない気もする。かなり過激で極端なものになるけど。
しかし、人間に「非合理的な感情」がある以上、そう簡単にいかないことくらい分からないものか?
AIに囚われすぎて人間的な感覚を失ってしまった哀れな人よ。

全体的なダサさとセンスの鈍さが悲しかった。
AI「のぞみ」の声とか勘弁してほしい。
なんでこう思ってしまうんだろう。私が日本人じゃなかったらここまでダサく感じないのかしら。
キナ

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