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オッズのJIZEのレビュー・感想・評価

オッズ(2018年製作の映画)
2.6
賞金100万ドル獲得を目指して世界中で約20名が同時に挑む地下の一室で行われる奇怪なデスゲームを映したソリッドシチュエーション映画‼︎おもに『SAW(2004年)』シリーズのエピゴーネン的な思想に基づくゲーム性を盛り込んだ作品でした。原題の「The odds」は直訳で"勝算"。本作はあらゆる"激痛"を視覚で我慢ギリギリまで想像させるような目を覆いたくなる追い詰められ型スリラーだ。どう考えても嘘臭い難攻不落の挑戦に資金が必要な主人公が人生逆転を賭け挑み続ける様は、この作品の中でまともな判断がくだせず(あるいは司会者に翻弄され続け)一番狂っていたように思える。また全編は男女の心理戦がメインで、ほぼ役者陣二人による謎の地下室の真ん中に設けられたテーブル越しで向き合いラウンド形式に分けて与えられたゲームを行う。例えば蝋燭の火に耐え続けたり、ネズミが入った箱に片足を突っ込み耐え続けるなど悪夢感の演出は一級品だったように思える。いわば舞台が固定されたワンシチュエーションの体裁が張られていた。挑戦者と司会者のいちいちまどろっこしい駆け引きや印象操作のような司会者の本性が前半から後半へ表と裏みたく移ろうなど良くも悪くも長所短所が明確にある。主人公が「この檻には動物が二匹いる」のくだりは安易に予想できたが作品内の世界をひっくり返す機転が待ち構えていて一応の微量なカタルシスはある。超ベーシックな難題を突破して賞金を獲得する題材ではあるが、主人公の今居る世界が現実か虚構か頭をクラクラさせられるレイヤーを敷いた部分は緊迫感を募らせ怪の世界観は面白かったです。
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