backpacker

アウトランドのbackpackerのレビュー・感想・評価

アウトランド(1981年製作の映画)
4.0
あまり評価が高くないですけど、いやはや、これは案外良作ではないかと思います。

木星の衛星イオのチタニウム採掘基地。
1年間の任期で赴任したばかりの保安官オニールは、基地内での不審死を調べるうちに、総支配人シェパードが労働者の能力向上のために密かに麻薬を出回らせていることを知る。オニールは、強大な権力へたった一人で戦いを挑むのだが……。

ストーリーは単純な企業vsヒーロー(孤独)の図式。それの宇宙版というだけ。
応援を望めない宇宙の孤島での、暗ーい闘争です。

良かったな、好みだな、と思う点は、採掘基地の施設内の作り。これが凄くいい。
『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせるような綺麗な白い内部もあれば、『STAR WARS』のような汚い内部もあります。
特に、労働者達の居る空間は雑然としており薄暗く汚れています。
植物を育てる温室エリアなども登場して、絶妙な匙加減の宇宙基地像を見せてくれます。
エアロック、エリアを繋ぐ通路、地下採掘場、酒場と食堂。労働者の宇宙って感じで、実に好みです。

未来感があるのに銃はショットガンとかで、現代と乖離しすぎた世界でもない。ほのかなリアリティーが感じられます。
重厚で不安感を煽るような音楽もピッタリですし、CU・MS・LS、多くのショットを満遍なく使う感じもいいです。

主人公も、途方もないヒロイズムに満ち溢れていて戦うわけじゃありません。皆見て見ぬふりをする基地の暗部を容認するような、「腐った機械の腐った部品」になりたくない、という理由。
十分反骨精神がありますが、スーパーヒーロー的な人間像じゃない点も、個人的にとても好きです。


この独特で暗い世界観を気に入ってくれる方、割といらっしゃる気がします。
それと、ショーン・コネリーが出演しているSFという点でも、気になる方はいらっしゃるはず。
個人的隠れた良作認定なので、mark数が増えることを祈ります。
backpacker

backpacker