ゆーさく

クロースのゆーさくのレビュー・感想・評価

クロース(2019年製作の映画)
3.5
サンタクロース誕生を描いたファンタジー。打算的にしか生きられない郵便局員がボランティア精神に目覚めるまでの成長物語。

最初の方は、悪意のある人間ばっかり出てきてしんどかった。
お国柄なのか何なのか、セリフが皮肉や嫌味ばっかりやし、揉め事や痛い目にばかり遭う主人公を見せられて、すごくつまらない気持ちにさせられた。


物語が明るくなり始めた中盤から俄然面白くなってきた。やっぱ人の善意の方が観てて気持ち良いね。

「欲のない行動は人の心を動かす」
何回も作中で使われてたセリフ、これぞテーマって感じで。


子どもたちの笑顔が街を明るく変えていく、っていうオーソドックスな展開やけど、オーソドックスってのはそれだけ保証された力があるってことやねんな。
しっかり俺の心も動いたわ。良かった。


ただこの映画観て気になったんやけど、打算的な善意ってそんなに嫌かな?
主人公の行動は自分の利益のためやけど、結果として街を活性化させる事に繋がるわけで。

クロースおじさんや、ヒロインのアルダは主人公の利益のために利用されてたわけやけど、結果的にはそれは二人にとっても損では無かった。
主人公が得をするためにやったことが、たまたま周りの人にも利益をもたらした。

クライマックスで事実が判明した時クロースとアルダは二人とも主人公に対して「裏切られた!」って思ってしまう。「欲のない行動」では無かった!って怒る。

俺はこれがちょっと納得出来なかった。立場的には五分五分やと思うもの。俺も利益を得た。あなたたちも利益を得た。

そりゃ無償でやった方が尊いのはわかるけどさ、「お前は無償じゃなかったんかい!がっかりやわ!」みたいな考えなのがちょっと求め過ぎというか、、嫌やった。


「欲のない行動は人の心を動かす」が作品のテーマやろうけど、せやからって他人に欲のない行動を求める、ってのは何かやっぱ違うやろって気もする。


ちょっとその辺気持ちがブレたというか、粋じゃないな、って思った。


まあこの映画は、彼らの友情も描いてるわけやから、損得勘定で動くのは友情として美しくない、ってのは分かるけどな。
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