シネマメンバーズで、5月末に配信終了だと知り、あわてて入会、鑑賞した。
沁みる映画だった。傑作。
最近、「侯孝賢の映画講義」という本を買った。少しずつ読み進めているが面白い。個人的に、侯孝賢よりエドワードヤンの方がわかりやすく、侯孝賢は割と良さがわかるまで時間がかかった。まだまだその魅力、真価に気づけていない気がして、本書を購入した。
そして、代表作と言われる本作も、侯孝賢への理解を深めるため鑑賞したが、初期の作品なのに、その後に通ずる作風であるように感じた。明暗とたゆたう時間を大切にし、丁寧に出会いや別れを描いていく。
暗い映画である。全編を通じて、父、母、祖母が死に、恋は実らず、何より大陸に戻ることができない。映画のようにうまくいかない映画だ。
しかし、だからといって、過度に暗くも、無理して明るくも描かない。そっと対象に寄り添うようにして、物語を紡ぎ出していく。
ミニマルでアンビエントな監督として、その魅力が段々わかってきた。侯孝賢の一番の代表作である「非情城市」がなんとしても観たいところ。どこかリバイバルしてくれないだろうか。