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ブレグジット EU離脱のryoのレビュー・感想・評価

ブレグジット EU離脱(2019年製作の映画)
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ドミニク・カミングス。Brexitの立役者。
「Take back control」というフレーズを軸にしたワンフレーズポリティクスや(「EUに週3億5千万ポンドの金を払うより国営医療サービスに」のフレーズを書いた赤いバス)、Cambridge Analytica(同社はドナルド・トランプの勝利にも貢献している)によるデータマイニングと分析を駆使して、事実よりも感情に訴えかけるやり口で「Vote Leave」を勝利に導き、ロンドン市長から首相となったボリス・ジョンソンの上級顧問まで務めた男。彼はデータに基づき、最適化された広告を、推定10億ほど有権者に送ったという。
Post Truthと呼ばれる、新しい、そして旧いデマゴーグと大衆の時代を始めた男と言ってもいい。煽られた感情的な対立は、残留派の議員ジョー・コックスの殺害を招く。犯人は「Britain first」と叫んだという。
英国の分断はどうやら未だ根深い。アリ・スミスやブレイディみかこの描くイギリスの現在は、いずれ他人事ではない。

演出やクラシックの使い方など、いかにもBBCらしいテレビ映画。脚色は少なめだったように思う。
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