モールス

ラヴィ・ド・ボエームのモールスのレビュー・感想・評価

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)
4.0
芸術家という商売も売れないと惨めなものです。家賃やその日の食費に困るぐらいに貧乏な画家、作家、音楽家の三人が何の因果か知り合い、交流を深めていく友情劇が本作のストーリーです。面白いのは、食うに困ってるはずなんですが宵越しの金は持たないというような気風を持ってるところです。自分達の作品が売れれば、すぐにお金を使います。愛する恋人は、そんな彼らにはついていくはずもありません。
カウリスマキ監督も、映画という作品を制作する芸術家です。そこんところのユーモアを混えた描写は、見事だと思います。
この芸術家三人組は貧乏にもめげすに、とにかく前向きです。劇作家は文章を削らないですし、作曲家は音を変えません、画家は絵の具代をケチりません。芸術家らしい頑固さと不器用さが良いですね。
最後に恋人が亡くなったりもしますが、カウリスマキ監督の人間に対する目線はあくまでも温かさがあります。下積みしている方々への応援メッセージのような作品に感じました。
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