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王国(あるいはその家について)のokawaraのレビュー・感想・評価

4.1
たとえば濱口竜介的な芝居議論と異なるのは、氏が身体性に何らかの活路を見出そうとしているのに対し、本作は「身体を伴わない主体」や「読み上げられないテキスト」にこそドラマツルギーを求めようとしているところにあると思える。そしてその副次的な(または意図的な)結果として、他人の子どもを殺めるという刺激的なモチーフさえも、その直接的な残酷さは回避され、むしろそれに至らしめる孤独という不気味さを、まさに映画の主題として、ノイズを伴わず提示できていることは、この作品の発明性を十分に証明しているだろう。
何よりも劇中劇が議論する、家すなわち避難場所となり得るはずの空間の脆さが途方もない深刻さを纏っていて、これはしばらく心に残る作品だと感じた。
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