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セメントの記憶のSのレビュー・感想・評価

セメントの記憶(2017年製作の映画)
3.8
かつて内戦によって廃墟と化したが、今では現代的な建築物が建ち並び、中東のパリとまで言われるようになったレバノンの首都ベイルート。
そのベイルートで建築作業を行なっているシリア難民に焦点を当てたドキュメンタリー映画。

異国の地ベイルートにて、母国シリアが内戦により荒れ果てていく様子を、どんな気持ちで見ていたのだろうか?
難民同士で同情し合ったり、会話する事は一切なく、日々ひたすらに建築作業を進めて行く。
時折見せる空虚で悲しそうな表情がすごく気になりました。

破壊があるからこそ新しい物を創造する事が出来る、と言われたりもします。
いずれ内戦が終結したシリアにも新たな建造物が造られると思います。
そこにあった歴史や悲劇などが忘れられ、新しいものに置き換わるのでは?と考えると複雑な気持ちになります。

戦争を間近で体験した者にしか分からないセメントの味。
一体どんな味なのだろうか?
想像することしか出来ないが、恐らく色々な意味で苦々しい味なのだと思う。
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