なっちゃーーん

アスのなっちゃーーんのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
3.6
怖かった〜。社会風刺を込めたホラー映画。『ゲット・アウト』同様に、緊張感と笑いのバランスが絶妙!怖いけど笑える、ニューテイストで楽しい。そして不気味な音楽と考察欲を唆る細かな伏線、恐怖心を煽る緻密に計算尽くされた演出の数々に、監督の手腕が光る。ルピタ・ニョンゴの演技も圧巻!あの目に見られたら、もう目が離せません…。

おもしろいなとおもったのが「 WE ARE AMERICANS 」というセリフ。これがこの映画のすべてなんだな、と。つまり「 アメリカの“今”を写した映画 」ってことだと解釈しました。

「 貧富の差 」や「 アメリカとメキシコの壁 」といったアメリカが抱える問題と、アメリカ人の問題との向き合い方。

そんな悲しき現実が、ラストの息子のある行動にも表れていて、それは「 結局わたしたちは見て見ぬ振りをすることしかできない 」ということであり「 なにもできないわたしたち =Us(アス)=U.S(アメリカ人)」が一番の恐怖、ということでしょうか?

手と手を繋いだ彼らの姿が“国境”のように見えるのも、なかなか皮肉めいた表現でした(「 アメリカ メキシコ 国境 」で検索をかけると、本作の“人間壁”に非常に似ている、両国を分断する“壁”がヒットします)

そして残念ながら、今の日本人も共感できると思います(もちろん日本人であるわたしも、そう)なんとも恐ろしい……。

ただのホラー映画ではない、それがこの映画の魅力。ジョーダン・ピール監督の次回作も期待。