スプリングス

アスのスプリングスのネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

〈/喧騒と静寂/〉

【Introduction】
「もし自分がもう1人居て、そいつと鉢合わせることになったら。君はどうする」
そう尋ねると。
「そうだな、殺すかな」
君は答える。
「あー、殺しちゃうんだ。野蛮だね」
「いや、殺すでしょ普通。気味悪りぃじゃん」
「そいつがすごく友好的でも?」
「殺すね」
「んー。や、分からんでも無いんだけど。でもさ、向こうが良い奴だった場合でも殺しちゃうのは、なんか後味悪くない?」
「俺的には友好的な方が怖いわ。どうせ近づいた後で豹変して俺を襲うんだって思っちまう。友好的なのもその為の演技かと思うと寒気がするね」
「...なるほどね。だからなのか」
「何が」
「いや、何でもない。ただ納得しただけ」
「ふーん」
仰向けになった君は血をコンクリートに垂れ流しながら、不思議そうな顔を浮かべた。
僕はというと、何故君に殺されそうになったのか合点がいって「それじゃあ仕方ないな」と独り言を吐きながら君の側にしゃがみ込んで、血塗れのハサミを回収する。
「せっかく笑顔で近付いたのにさ」
呟くが、君がもう何も聞いていないことに気付いて、立ち上がる。ハサミを鞄に無造作に放り込むと、絶命している君に最後の言葉をかける。
「帰るよ。君の家に」





(※以上の文章は映画本編の内容とは関係無いものです。勢いで書いちゃったってやつです)

【Review】
クッソ面白かったです。
ガチで面白い。
都市伝説系統の《自分の知覚出来る世界の外側》のお話が好きな方は絶対にハマると思います。
まず冒頭の遊園地の喧騒と、浜辺に移ってからの静寂の落差が強烈。「ここから裏の世界だよ」と訴えかけてくる映像に音が加わり、一気に引き込まれました。
(※この境界線はストーリーの根幹にも関わってくるからマジで大切)
演者もすげぇよ。一人二役の演じ分けが見事としか言いようが無い。あの家族の娘のドッペルゲンガーが特に狂気ましましでキャラクター的に好きだったなぁ。
で、ホラーとしてちゃんと楽しめたのも良い点。
ジャンプスケアで脅かす系ホラーじゃなく、純粋な怖さで攻めてきたから大満足でした。

ストーリー的には...スケールでけぇなぁ!!!!
他のレビューにもあったけど、シャマラン的なんよね。この監督。前作もそうだけど、話の行き着く先が予想の斜め上を行ってくれるから安定して驚けるんよ。
ただ、今作に関しては振り切りすぎた印象あるなぁって。僕は最後まであの裏世界設定を理解出来ないままでした。結局あれはどうなってんだって箇所が沢山残る。

...けど、『知りたい』と思ってる自分がいるんですよ。そう思わせる魅力はこの映画にはあるし、その魅力が持続するので理解出来ない箇所があっても《大満足》で劇場を出れるんですよね。
あと、会話が面白くて笑えるのもポイント。
とにかく、めっちゃ興味深い映画でした。
全力でオススメです!

【Digression】
ハサミは、同じ形の刃物が重なり合って成り立っている。