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アスのVisorRobotのネタバレレビュー・内容・結末

アス(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

日本の奇形系本格ミステリっぽかった。アイディア含めて。その脳で見に行ったら結構落ちまで読めそう。
ただ、アメリカの歴史を寓話的に読み替えてるので「構造だけ取ってオチ読めたわ」とかいったら恥かくんだろうな…。

一見平穏に生きる我々の日常に怖いものが隠れているんだよ、それどころか我々の一部が”こわいもの”なんだよという話。

印象的なテーマ曲は「I Got 5 On It」のバックトラック。LUNIZのデビュー曲で全米大ヒット、公務を欠席したウイリアム王子が合わせて踊っていたなんて話もあるこの曲が不穏に流れる。

お父さんは「ハイになる歌だ!」なんて言ってごまかしていたが、大麻のプッシャーの歌なわけである。

60万人で手をつなごうという1986年のハンズ・アクロス・アメリカは平和の象徴だったが、今作ではその隠された側面が複製として示される。

とりわけ同質性の強い日本において「同じ」ものは「安心するもの」として好まれるが、それが極端な負の要素といて表出することは神戸市の教師いじめ事件など最近の出来事を見ても明らかだろう。

地下住民が主人公を殺せなかった理由が、設定上いつでも後付けはできるものの示されていなかったり、結局主人公にとって家族はどんな扱いになるのか、テザード(映画が終わるまでデザートと勘違いしていた)は結局どうしたいのかがわからなかったりと釈然としない部分はあるが、語り外のある映画だと思う。
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