偽名祐司

アスの偽名祐司のレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
3.4
ホラー隠れ蓑に色々風刺込めるジョータンピール監督の二作目
風刺内容がさらにアメリカ人だと解る度合が上がっているので(ギャグ含め)日本人にはちょっと難易度高めになりました。
自らと全く同じ姿の「私達」が襲い掛かってくるというビジュアルがもう素晴らしい。

話はアプリ参照で。
幼少時、自分と同じ姿をした少女を観たトラウマを持つアデレート。夫のゲイブと2人の子供ゾーラとジェイソンを連れてバカンスにやってきていた。トラウマの震源地であるビーチで友人家族と楽しくなんとか過ごせたその夜。コテージに自らと同じ姿の4人が現れる。

OPの不穏な映像から素晴らしい。アップからカメラが引いていく事で現れるただひたすらのウサギの映像。古いテーマパークビジョンクエスト内部の何が居てもおかしくない感じ。そしてテロップで冒頭さらっと描かれる「謎の地下空間がある」という但し書き。
前作もそうでしたが、なんでもない映像を流しておいて、ほぼ観てる人間全員に「何か不穏な感じがする」と思わせる事が出来るこのセンスはやはり凄いなあと思います。
獣や化け物、正体不明の幽霊等。恐怖を示すキャラクターってのは色々ありますが。やはり人間の私達が観る以上同じ人間の表情ってものが、一番シンプルな意味で心の裏側を逆なでさせるような感覚が呼び起こせるなあと改めて感じます。

シンプルに自分と同じ姿の私達が出てからが話の本番なのですが。
夫、娘、息子、自分、とそれぞれのキャラの対比が面白い。
シンプルにジェイソン的な動きをするアブラハムと笑いを絡めて対決する夫ゲイブ。ちょっと空気読めて無さすぎですが。
無表情で思考が読めない怖さを出すアンブラから逃げるゾーラ。
狂犬のような鏡写しで真似てくるプロートーと対峙するジェイソン。
それぞれのシーケンスでいくつもの設定や伏線を張りながら地獄のような声音で話すレッドとアデレートの話し合いで目的が露わになっていく展開が上手。

後半話が広がっていくと風刺を解り易くしすぎてる為に本編の話の全体像が解りにくい所はありますが。
アデレート回りの話は綺麗に広がり綺麗に纏まりますのでご安心ください。説明多すぎとも言いますが。

ちょっと全体の話は投げっぱなしな感じですがそれ以外は安定してるゴアも少なめ?なホラーです。
「ハンズクロスアメリカ」とか意味も無く後で調べたくなるかもしれませんがそれでも良ければ是非どうぞ。
ネタバレ感想はコメントで。
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