しゅんすけ

アスのしゅんすけのレビュー・感想・評価

アス(2019年製作の映画)
4.3
「us アス」

「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール監督による社会派ホラー映画。

 夏休みに別荘に遊びにきた黒人4人家族を自分にそっくりの「私たち」が襲撃し、地獄の夜を過ごすという話。

 前作「ゲット・アウト」が黒人奴隷を現代ホラーにミックスさせた意欲作だったのですが、本作もまた社会派テイストが盛り込まれた作品でした。

 オープニングで流れる、アメリカ本土を人と人とが手を繋ぐ「ハンズ・アクロス・アメリカ」というチャリティーイベント、ビーチに併設された遊園地にある鏡の間、オープニング・クレジットに映るウサギ(白いのが多くて、黒いのがちらほらというバランス)と台詞なしにこれから起こることを暗示してます。

 人のつながりに反するようなハサミという敵側が持つ武器だったり、何らかのモチーフがいっぱい散らばっていて、そういうのがわかるともっと面白く観れたんだろうなと思いました。

「ゲット・アウト」に比べてスケールがかなり大きく、話が思いもよらない方向にいくのが良かったです。後味が悪い、嫌なエンディングも個人的には好みでした。

 コメディな部分もあって、ボートのくだりだったり、アレクサみたいなワイヤレス音楽プレーヤーで誤ってN.W.A の「Fuck the police」が流れる(黒人音楽+事件なのに駆けつけてくれない警察批判も込めている)など、緩急をつけてるのも良かったです。

 ジョーダン・ピールは次回作が「キャンディマン」のリメイクの脚本みたいですが、ホラー路線でずっといくのでしょうか? スパイク・リーの「インサイド・マン」みたいなエンタメよりの娯楽作や相方のキーガン・マイケル・キーと社会風刺コメディやってほしいなと思いました。