くりふ

バースデー・ワンダーランドのくりふのレビュー・感想・評価

3.5
【ゆりかごで聴く夢】

レンタルで。筋の通った柔らかさ、というような独特の感触があり、原監督がキチンと自分の映画に仕立てている。一方、4割くらい?を凡庸で退屈に感じた。映画館に行くべきだったか微妙。

児童書が原作らしいが、親が子を暖かく包もうとするファンタジーでしたね。まさしく誕生日のように、不思議なひと時を祝うような映画でした。

お話はとりとめがなく、他愛もない。それを精緻な描画力で説得している。ファンタジーなのに妙に冷静で、でも楽しいのが本作の魅力だ。

予め用意された、安全で優しい幻想世界でゆったり心を緩ませる。確かに、今の子供には必要なことかもしれない。甘いとは思う。

例えば、日本から見た時の発展途上国へ行き、そこの子供と同じ生活をし、同じものを食べる…という体験を経た方が、本作の異世界へ行くよりずっと、未来を生きる貴重な糧となるはずだ。

だから、あくまで本作は、親が子に、寝る前に話してあげる“おはなし”以上でも以下でもないでしょう。それをどう生かすかは観客次第。

ヒロインが、冒険から戻って真っ先に何をしたか?でひとつのお手本を示していましたね。しかし、そのヒロインは小学生に見えないなあ…。

一方、叔母ちぃちゃんのオトナ少女ぶりが愉快。彼女も、帰還後に何をしたか?に年齢が出ていました。夢の中でどう、この冒険を記憶づけるのだろう?

絵は、いいですねえ。同時レンタルした『劇場版シティーハンター』と、何故ここまで、絵づくりの集中力が違うのか?(笑)

キャラデザに異色の抜擢をしたことが効いた、とも思うが、“アニメキャラは眼が命”だと改めて教えられる。

ここに命を懸けて、差別化すればまだ、オリジナリティ溢れるキャラは生み出せると思いました。

<2019.11.11記>
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