せーじ

バースデー・ワンダーランドのせーじのレビュー・感想・評価

2.8
158本目。シネマイクスピアリで鑑賞。
初日とはいえ、天気の悪い平日の昼間の回ということもあり、客席はまばら。年齢層もバラバラだった。

「クレヨンしんちゃん」をはじめとする名作を数多く世に送り出した原恵一監督が手掛けられた作品で、なおかつ松岡茉優さんと杏さんが出演されるということもあり、かなり期待を持って席に着いたのだが…
残念ながらその期待が晴らされることはなく、大きな失望を抱いての鑑賞となってしまった。

とはいえ、ストーリーそのものは「悩める少女が異世界に召喚されて、数々の冒険をクリアすることで悩みを解決し、成長していく」という王道でわかりやすい題材だと思うのだが、そもそも導入の「異世界にいざなわれたヒロインが救世主として仕方なく行動をはじめる」というくだりから既にまどろっこしい展開になってしまっているのが非常に残念。観客に対する世界観の説明と何が問題で何をするべきなのかの提示が明確ではなく、それが観客である我々に伝えられるテンポとスピードも遅いのだ。その挙句、中盤はずっと車に揺られて淡々と移動するだけという苦行を見せつけられてしまい、げんなりとしてしまった。たとえば明確なタイムサスペンス的な要素があってもいいのに、なんだかそれは有耶無耶にされてしまう。
また、後半敵キャラクターの正体が割とあっさりと明かされるのだが、それが全くストーリーの核心に響いていない。敵の最終目的も明確ではなく、その動機も心理的葛藤が理由なのでそもそも見えづらいし、そのためにあのような破壊活動をしていたのかというのも納得し辛い。
酷かったのは、あるアイテムを「もうひとつ作る」というくだり。最初から"それ"が使えるならそれを使おうよ、急ぎなんだからさぁ…と思ってしまいました。このあたりの脚本上のブラッシュアップが全くできていないように感じます。

ただ、それよりも納得できなかったのは「迷ったり悩んだら"とりあえず"やってみる」ことを根拠なく薦めようとするこの作品の主題そのものが、個人的には受け入れ難かったです。それは、根拠がなければただの無計画無責任な行動に過ぎなくて、前向きな行動でもなんでもないですし、それが出来ないからみんな悩んだり苦労したりするのに、肝心の「じゃあどうするのか」を埋めるようなことはやっぱりしてくれないで、なけなしの勇気を出すことだけを求めるといういつものアレな結論に、またかよ…と思いながら観てしまいました。
それと劇伴音楽が、音量といい入れるタイミングといい、非常にベタな使い方で辛かったです。今どき朝ドラだってもっとましな劇伴の使い方をすると思うんですけど、そう思う自分の感性がおかしいのかなぁ…
キャラクタービジュアルや作画そのものは、今までにない絵柄のバランスで個人的には新鮮な感覚で観ることができましたし、「母娘と異世界との時間経過の関係」など、面白くなる要素も少なくないのに、脚本が全くそれを活かしきれていない、非常に残念な作品だと思います。
ファンの方々、すいません。自分には合わなかったです…