ノラネコの呑んで観るシネマ

バースデー・ワンダーランドのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

3.1
誕生日の前日、突然現れた怪しい男から「貴女は私たちの世界の救世主”緑の風の女神”だ」と言われて、異世界への冒険に旅立つ少女あかねの物語。
ちょいスチームパンク風味も入った世界観はかなり魅力的で、それだけ見ていても結構面白く時間が過ぎてゆく。
しかしこれ、主人公が決定的に弱い。
あかねは内気ではあるが特に葛藤もなく、物語中でも基本連れまわされているだけで、殆ど何もしない。
そもそもなぜ彼女が救世主なのかも、曖昧な家族の過去との絡み以外、役割を含めて納得できる設定がほとんどない。
むしろ、旅の同伴者となるアクティブな叔母のちぃの方が目立ってしまっている。
少年少女の成長の舞台装置としての異世界だとしても、大して成長した様には見えないんだな。
今敏を思わせる写実的キャラクターデザインも、子供が子供に見えないと言う点では、本作とのマッチングは疑問。
水準には達していて、決してつまらない訳じゃないし、あかねの造形も主人公じゃなけりゃ悪くない。
しかし原恵一に対する期待値からすると、今回はちょっと詰め切れてないと言うか、話が漠然としてしまったかなと思う。
ネコ偏愛は良かったよ。