たま

バッド・シードのたまのレビュー・感想・評価

バッド・シード(2018年製作の映画)
3.0
「雑草はない。農夫が無能なだけ。」

ワエルとモニーク義理の母息子はしがない詐欺師。
ところがカモにするはずだった初老の男性は、モニークの知り合いビクターだった。
警察に突き出さない代わりに、無償でビクターの仕事を手伝わされる事になったワエルとモニーク。
ワエルはフリースクールの講師に、モニークは事務員に。

モニークを演じるのは大女優カトリーヌ・ドヌーヴ。
いつもより地味目でオバさんっぽい役だけど、やっぱり気高さを感じさせるし、並外れたオーラがある。

フリースクールの生徒たちは皆いわく付き。それでもワエルはすっかり生徒たちの心をつかむ。ちょっと奇抜な方法も使うけどね。

ワエルは幼少時、内戦で家族と家を奪われ、盲目の振りをしてスリを働き生きていた。悲惨な経験をし、誰からも見放され、助けを求める術もない幼い子どもに、罪を責めることができるのだろうか?

バッドシードなんて無いんだな。
冒頭の言葉が思い出される。

ワエルは才能があるのに、義母としがない詐欺を働かなきゃ生きていけないのが、現代のフランス移民難民の姿なのかと考えさせられる。
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