偽名祐司

ONE PIECE STAMPEDEの偽名祐司のレビュー・感想・評価

ONE PIECE STAMPEDE(2019年製作の映画)
4.2
「立ち上がれ、全勢力」というキャッチコピーは伊達ではない本気で原作キャラクター総登場オールスター映画。
ゆえにこれまでのワンピースについてきてるファン用作品でありハードルは高く非常に密度は濃い傑作。

話はアプリ参照で。
海賊万博。それは何年に一度開かれる海賊達の宴。そこに海賊王の「鬼の跡目」と呼ばれる超武闘派海賊ダグラス・バレットが参戦し、大航海時代を終わらせる海賊王の宝を商品に出した事で、事態は一気に大きくなった。麦わらの一味最悪の世代、海軍達に革命軍。七武海も加わって盛大な祭りが始まった。

OPから非常にキャラクターの密度が濃いです。画面の情報量が非常に多く一瞬出てたり、一言だけ喋るキャラクターの多さは今までの映画とは段違い。新世界編だけでなく2年前の冒険で現れたキャラクター達も多く登場し、ワンピースのファンであればあるほど楽しめる映画になってます。
ただし、一言だけ言いたい。パンダマン、君は出過ぎだ。君はもっとコマ送りしないと分からない程一瞬に画面に見切れてる位のキャラなはずだろう?探したければ青盤を購入しなさいレベルじゃないとダメだと思うのですよ!という個人的な愚痴はさておき。

良い点を。話がシンプルにわかりやすいです。
「敵味方、どの勢力も関係なく協力しないと勝てない敵を用意して共闘する話を作ろう」って事ですね、って事が解りやすい今回の敵であるダグラスバレット。性格もベタに「俺より強い奴はどこにいる」系。殺意の波動リュウといえば話が早い人もいるでしょう。
そのバレットがとにかく規格外な強さを誇るわけで、尚且つ悪魔の実の能力を使うともはやどこの怪獣映画?ってレベルになるのが話が早く笑ってしまいます。そういった映画用とはいえあまりにも規格外のバレットを作る為に色々と設定には力を入れており、相棒のブエナビスタを含めて今回の敵側の方は映画新規キャラって事で濃いエピソードが展開されます。「大海賊時代」を終わらせる、という意味や、海賊王の残した宝の話は中々良かったと思います。まあ宝の中身わかった瞬間どうなるかはお察しですけども。

一方で見方側、というか今回の悪役以外の登場人物側なのですが。新規設定がほとんどありません。
もともと登場する数があまりにも膨大って事もあるのでしょうが。ほとんどのキャラが一瞬出てくるか喋るか活躍するかです。それもそのキャラを代表する技が多く、映画で新規台詞や情報、技がありません。お祭り映画なので仕方ないのですが、これは逆に「良く既存のキャラと技の組み合わせだけでここまで話を組上げたな」と褒める所とも言えます。これだけのキャラクターを登場させておいて一瞬にしろすべてのキャラに何かしらの見せ場を作り上げるというのは素晴らしいバランス感と褒めるべきです。なので一言。

怪僧ウルージさんはいったいいつまで謎の技「因果ざらし」に頼れば良いのですか?!

一瞬のキャラ達は百歩譲るにしても今回でメインを張る、ハンコック、スモーキー、サボ、クロコダイル、バギー、そして主役のルフィにすらコンビネーション技や、新規登場の技や動きが無かったのは残念です。一応ウソップが良い所をもっていくのでそれは素直に評価します。がそこも台詞が完全にドレスローザで聞いた台詞なのが惜しい。

少年漫画の映画らしく、「友情努力勝利」を地で行く解り易さも素晴らしい。
「1人だから強くなれる」バレットに対し「仲間がいるから強くなれる」ルフィと対比もシンプル。主張の強いメインキャラ達がいがみ合い纏まらない所にルフィが入った瞬間に一気に同じ方向を向き始める所とかは良かったですねえ。

毎度おなじみの芸能人声優の意味があるやらないやらの台詞もいつもどうりです。今回ゴールドと違って歌すら歌いませんよ?ですが音楽関係のネタもファン向けでしてその辺も王道で良かったかと。

ワンピースを良く知ってないと楽しめないかなりハードル高い作品ではありますが、知らなくても適当に楽しめるシンプルな話と展開。お気軽にどうぞって事でネタバレ感想はコメントで。
偽名祐司

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