クレミ

家族ゲームのクレミのレビュー・感想・評価

家族ゲーム(1983年製作の映画)
4.8
うげぇー、面白かった…

父、母、優秀な兄、問題児の弟というある種類型的な家庭の役割をそれぞれ果たす家族、だがその実全員が他人に興味が無く、欺瞞に満ちた沼田家。横並びの食卓とわざとらしい生活音、「家族」という名が付いた人間の集まりの気味悪さをシュールなコメディという悪意のある形態でまざまざと見せつけてくる。最後の家庭教師と家族の静かに狂気が爆発していく食卓乱闘シーンはここ数ヶ月で見た映画の中で最もインパクトがあった。最後のシーンは、外界への興味や視線を一切遮断し全員が違う方向を向いて眠るという、沼田家にとってはある意味これまでの「日常」に戻ることを表すものでもあり、死んだように眠るその様子はまるで一家心中のようでもある。きんもちわるいことをあえて笑えるように見せるのが上手いし、笑えるのにその後ろには常に不穏な空気が流れる。変な映画。唯一無二かも。
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