Jeffrey

家族ゲームのJeffreyのレビュー・感想・評価

家族ゲーム(1983年製作の映画)
4.8
‪「家族ゲーム」‬
‪冒頭、15歳、冬。受験生の茂之。家中が凄くピリピリしていて煩いんだ。次の瞬間タイトルロゴが出現し高校受験を控える青年が食卓で食事するシーンに変わる…本作は森田芳光の異色作としてATG映画の中でも風変り極まる一作だ。物語は次男茂之の高校受験の為、両親が家庭教師を彼につける。‬そこから家族に異変が起こり始める…が俺から言わせて貰えば異様家族対異様教師が交じり合ってる感じがする。カメラもスローに動き役者の顔にアップ、行成無声、無音になるシーンや後に伊丹十三のタンポポに見られる性と食の混合を本作では性を抜きに、一切音楽を使用せずに食する口音を強調させたりと一風変‬‪わった事をしてる。終盤のシンボリックな横長机で暴飲暴食する家族と教師のシークエンスはM.フェレーリの最後の晩餐を彷彿させる。それから本作には謎もいくつかある。松田優作演じる教師が茂之の頬にキスする意味や最後のヘリコプター音や教師がほぼ常に持ち歩いている植物図鑑の意味等…題名に付くゲ‬ ‪ームはまるで4枚のトランプカードに一枚のジョーカーが加わってしまったかの様な事柄に感じる。再鑑したがやはりアクション俳優松田優作が家教を演じてるのが奇跡に思える。キスで揶揄い、喧嘩技を伝授し、ビンタし攻め、挙げ句の果てに父から別金の約束までさせる一見ゴロツキかと思う男は嵐が去るよ‬に消えてく。いや〜本作を初見した時はびっくりした。素直に面白いと感情が高ぶったと同時に冒頭から登場人物の濃い性格を一瞬で観客は理解する。有り触れたホームドラマとは一線を画す喜劇と得体の知れない余韻が我々に襲い掛かる怪物的映画と僕は言おう…そしてクソタレ流し事件と鸚鵡返しの映画でもある。‬
ATG作品の中でも相当ヒットした傑作で、俳優軍のコミカルな芝居に一切音楽を使わない異色のホームドラマで出来損ない受験生と家庭教師とその家族をユーモア溢れる新感覚なタッチで描き、まるで別の宇宙を見ている様で滑稽。森田芳光の凄さが分かるし今見ても新しい映画だと伝わる!
Jeffrey

Jeffrey