Tyga

家族ゲームのTygaのレビュー・感想・評価

家族ゲーム(1983年製作の映画)
4.5
これは実は主人公はお母さんなのでは・・・、という気持ちにさせられるラスト。

この映画の母親は、父性の欠如というか家庭を顧みない(そのくせ要求だけ一人前の)父親と、ふたりの子どもとも上手くコミュニケーションを取れず、ただ4人分の食事を作って、趣味の彫刻をする毎日。

そこに現れた息子に向き合ってくれる存在である家庭教師の松田優作。
彼の存在は家族をひとりで担う彼女を助ける本来あるべき父性なのである。(最もこの松田優作に父性以上のものを感じるのも事実なのだけれど)
そうした仮想父による偉業を、口(と金)だけの父親が我がもののようにした瞬間、家族の崩壊という卓袱台返しのマグマが噴き出す。

ラストのヘリコプターのシーンは、次男の受験以前に存在していた「家族」の枠組みを維持する必要がもはや必要なくなったことを表しているのかもしれない。母親は二人の子どもが眠っているこの時に、やっと安息できるのだ。

視線の交わらない横ならびの食卓は、テーマを表しながら、画としても映える発明。
てか、まだ色々わからないモチーフとか多すぎる……。

余談だが、我が家の父親も半熟の目玉焼きをチュウチュウできないと怒る。
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