子供の頃ドラマ版が面白かった事と、本作は子供には多少難解だった事も有り、余りハマらなかった記憶が有るが、改めて鑑賞し、シュールなメッセージにどハマりしてしまった。特に松田優作は最高だった。
高度成長期の日本の家庭が抱えた色々な問題を詰め込んだストーリーは、昔外国からウサギ小屋とも揶揄された団地で生きる父親、母親、息子二人と次男の家庭教師を挟んだ内容は最高にシュールな面白さが。核家族、受験戦争、いじめ、亭主関白で子供に無関心な父親と言いなりの母親、生徒に関心のない先生など、問題を余りにも混沌としたストーリーで見せる展開は、キャスティングの妙も有り作品としても素晴らしさを感じた。なんと言っても見所は宮田一郎太が演じる中学三年生の沼田茂之と、松田優作が演じる家庭教師 吉本勝とのシュール過ぎるやり取りの面白さ！
家族にとって何が幸せなのかを最終的な命題として突きつけられているような内容は、人間の幸福感にも繋がるだけに気持ちの悪い家庭や家庭教師のやり取りは観ていてとても面白かった。特に家庭の問題として捉えられている次男の成績問題を解決する為に雇われた家庭教師の適当さと家族の不響和音が、今の日本人の希薄な人間関係や子供の人権を無視した世の中、子供や子育てへの無関心にも繋がる様にも思え怖さと面白さを感じとても楽しめた。
何より松田優作と言う唯一無二の素晴らしい俳優に、もっと色々な作品を見せて欲しかったと強く感じた作品だった。
