Yuya

宮本から君へのYuyaのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
3.9
世界一カッコ悪い正直男と
世界一カッコいい嘘つき女の
躁鬱的バイオレンスラブストーリー

たぶん…一応 なんとか男なもんで
男目線でしか 言いようがないけど
みっともないねぇ ずっと…
みっともないコトが みっともないん
じゃなくて みっともないコトを
受け入れてないコトがみっともないな
まっすぐな優しさを ただ言い訳にして
自分が 自分で 自分は 自分だって…と

その自己満足を洗いざらい晒した男を
受け入れちまう母性に すがりついた時が
最低で最高 超クソなハッピーエンドさ

自分の醜態を 愚かさを 冷めた言葉で罵り
それでも 自分が自分を愛さないでどーするって
自嘲気味に微笑んでる ボッサボサ髪の隙間の瞳
滑舌と歯切れの悪い宮本浩次の影は少なからずあった

ただ 『愛しのアイリーン』の変態的エンタメさ
未だ映像化叶わぬ 『The World Is Mine』の
突き抜けた暴力性と比べるに やや見劣りが…
つーか 役者…いや蒼井優の演技が突き抜けてて
もう そこで美学が完結してしまっててさ
男より男らしい故の男運の悪さによる自傷が
蒼井優ほど似合う女優は 後にも先にもいないと思う

子供達がイノセントに戯れる公園の一角で
罪の告白と懺悔のように ある秘密を打ち明ける
あそこはシュールレアリズムの極みだね
井浦新の中間的な存在感と 命を強調する金魚
『ディストラクション・ベイビーズ』に通ずる
複雑なベクトルと 生々しい死生観が真利子監督らしいな
Yuya

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