正しいことを言ったとしても何者かの力によってそれが封じられ、弱者の声がかき消され、理想を叫んでも笑われてしまう理不尽な時代だからこそ重要な力を持つ渾身の一作。
ドラマ版が大好きで映画版もかなり楽しみにしていたんだけど、スクリーン上の宮本は相変わらず所狭しと駆けずり回り、泣き、叫び、全力で生きていた。それにホッとしたというよりは、(映画の企画の方が先にあった)製作陣の何度も頓挫した上でようやくこの作品が実現したという熱量が宮本と重なってとんでもないパワーを放っていた感じ。
ストーリー自体は至ってシンプルなんだけど、宮本ほど生ききれていない自分にとっては池松壮亮と蒼井優がキャリア最高の演技を更新する想いで臨んだであろう驚異的な熱演に感情をぐちゃぐちゃにされたし、ぶん殴られたような衝撃を受けた。あれをサムイとかウルサイとか感じる人の気持ちも分からなくはないが、宮本はそんな人たちのことを振り向きもせずただただ純粋に真っ直ぐ生を全うし、肯定し、迸らせる。
牙の抜けた時代だからこそ必要な映画だし、原作者と役者と監督ら製作チームが一丸となって作り上げた激アツな作品。冷やかし程度に触れると怪我するし、引いてしまってもおかしくないほど絶対的な「生」が詰まっている。
エンディングの映像はドラマのOP＆ED同様に今回も最高な代物だったし、何より宮本浩のモデルである宮本浩次が歌う主題歌が、全力で駆け抜けた本編の後に極上の余韻を提供してくれるもんだから最高オブ最高！
現実で宮本ってる人はこの映画を観ている暇なんかないんだろうなと思うけど、それはそうと宮本の言ってたように「生きてる人が1番強い」！！
案の定感想がまとまっていない感じだけど、この作品を観て感じるものってそういうことなんだろなとも思う。順番に礼儀正しく起こるのが感情じゃなくて、あふれたら同時に表出してしまうもの(的な)。
真利子監督、池松さん、やりましたね！！！
