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宮本から君へのohassyのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
3.5
新井英樹の漫画は、愛しのアイリーン然り結構読んでいるつもりだったのだけれど、具体的にどんなストーリーなのかと言われるとほとんど思い出せなくて、ああ自分はずっと勢いのある絵に魅力を感じてみていたのだなあと思う。
描かれる女性たちがとても生々しくて、近年ずっと評価されているような、キレイなアラのないデザインのアニメキャラクターに比べればずいぶんと汚いのだけれど、だからこそ惹かれるものがあるという感じ。
特に性的な魅力を強く。

関係ないかもしれないけれど、僕は地方都市やアジアの国に行った時に、かつて赤線地帯だったエリアや今でも細々と生きながらえているそういうエリア、さらには西成や山谷のようなドヤ街を歩き回るのがわりと好きだ。
生きている赤線地帯だと夜は賑やかになってしまうし、ドヤ街は本当に危ないかもしれないのでだいたい昼間に歩き回るのだけれど、それでも何か生きるという行為の生々しさは十分に感じることができる気がする。
きっと夜のそれに比べれば搾りかすのようなものかもしれないけれど、僕には搾りかすでも刺激が強いくらいだし、あまり濃いのは口に合わないので夜は近づけない。

本作は原作に劣らずキャラクターがみんな良くて、主演2人はもちろん次々と惜しげもなく登場する大物俳優たちにびっくりしながら、それぞれがいいなと思える映画だった。
福田作品に出てるのはあまり好きじゃないので、佐藤二郎をいいと思ったのなんて結構久しぶりだと思うし、井浦新も急に出てきて結局かっこいいし、みんなよかった。

そんな中でもやっぱり個人的には蒼井優です、新井英樹作品ですし。
「彼女がその名を知らない鳥たち」も良かったけれど、キャラクター的にも本作の方が惹かれる。
文字通り曝け出してもいるし。
あとはラガーマン・拓磨役の一ノ瀬ワタルがとても良かった、ああいう人のああいう舐め方ってあるよなあ。

そりゃあモデルなんだから当たり前だけれど宮本浩次の主題歌が合いすぎて、映し出される本編とは異なる幸せそうな2人とも相まって、素晴らしいエンディングだった。
本編のセリフと歌のリリックと宮本浩次の歌声がバチッと噛み合って、えもいわれぬ高揚感が残る。
原作か、ドラマを見ていないと宮本の怒りの根源のようなものが分からない嫌いもあるけれど、細かいことを抜きにして宮本たちからのエネルギーを浴びてもいいと思う。

Do you remember? 愛しき人よ
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