ペジオ

宮本から君へのペジオのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
4.6
原作の一番好きな部分の映像化である
非常階段の死闘の流れはそりゃ何度も読んで、宮本が「勝つ」姿に圧倒的な「カタルシス」を感じた記憶がある(原作では拓馬がわんわん泣き出すシーンがあって、そこで新井英樹自身何かが浄化されたと言っていた。)
しかし、映画を観て僕が一番「カタルシス」を感じたのは、その後の靖子と会うシーンだった
原作をほぼ忠実に描いていたのに、そこにズレが生じたのは何故かと考えてみる
…上手く言葉にできないが、ずっと僕はこのエピソードの「敵役」を拓馬だと思っていたのだけれど、本当は靖子だったのだと気づいたのかもしれない(あるいは、そういう風に脚色されているのかも。)
「僕だけは君の味方だ」なんて甘っちょろい物言いがもてはやされる世の中への怒りが新井英樹の創作のモチベーションになっていた事を考えると、何か自分の中で凄いしっくりくる
ある意味で「根負け」する形になったヴィランの姿に、ボロボロのくせに「自己満足な勝利」を謳う主人公の姿にこそ心揺さぶられたんだろうな僕は

池松壮亮と蒼井優ともに最高すぎた
ダイレクトしゃもじで飯食うシーンやってくれてありがとう

拓馬は連載当時に人気絶頂だった貴乃花を想定していたそうな
その辺の「世の中の奴ら全員叩ッ殺してやりたかった」という新井英樹の思いは、奇しくもラグビー人気高まる現代でより強化されたのかもしれない(テレビで見る限り選手達はとても好感が持てる方々だとは思いますがね。)
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