ねむ

宮本から君へのねむのネタバレレビュー・内容・結末

宮本から君へ(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

12)うーーー…。☆評価しづらい。
タイトルの『君へ』が私に向けられていないんだろうな、ということだけはなんとなく感じた。
第一印象は苦手なタイプ。あまりの不快さに途中で観るの諦めそうになった。

自分の中にある感情とか記憶が観た直後に言語化されたり感覚を掴めるものとそうじゃない遅効性の作品がある。
私には宮本は後者でした。

台詞や時代感がそこはかとなく昭和な価値観や描写には正直ウンザリした(褒めてる
アルハラ、セクハラ、レイプ全て見たくも知りたくもないことなのに現実ではどこかで起きてる侵害や蹂躙が、心底嫌なんだと思う。
加害者はいつも盲目だ。

(宮本ってはたして不器用なのかな??逆に恋人にあんなことあって器用に立ち回れる人ってどんな人?靖子の元カレみたいな人なのか?)

主演の演技は本当に凄かった。
抱えきれないくらいつらいことがあった時、号泣してもすぐに声は出ない。
ラストの対峙するシーンがなければ観なきゃ良かったと思うくらい胸くそ。つま先とか吐きそう。
素朴な疑問だがレイプシーンはあんなに克明なのに、ラストで何かがちぎれる描写はあの大男に対する一滴の温情を感じてしまい微妙に未消化。
ちぎった肉片を壁に叩きつけてその血がピッと飛ぶ1秒を入れて欲しかった。
(もしくはチャリで靖子の所に向かって高々と掲げた拳に何か握りしめているとか)
そこまでやりきってたら『これが俗に言うカタルシスというやつか!?』とか思ったかも。いや、私が冷酷なんだと思う。ぶち殺して欲しかった。

1番共感したのは、勢いよくプロポーズしてきた宮本に対して鬼の形相でそれをはじいた靖子が職場の人に笑顔で切り替えた所。
宮本に向けて放った自分の気持ちを他の人が受け取る必要はないんだって頭の片隅で気を回すようなとこ。

『しばらく会えない』の『しばらく』なんて永遠と読むんでしょ、と絶望してしまう。1番倒れそうな時に1人にされる圧倒的な孤独。
男と女の見事なまでの交われない思考や行動がよく表現されているなと思った。

靖子は自分で育てよう、生きていこうと1人で立つ。
宮本も誰がどう思おうと自分の人生は薔薇色だと言う。
ちょっとバランスが違えば自分勝手の自己中で、自分と繋がる誰かのことを考えてない奴みたいだけど、別の角度から見た時自分1人で立っている者同士がやっと連れ添おうとしてるんかな?とも感じた。
他人を頼るんじゃなくて、自身を頼ろうと決意したような。

宮本はレゴムービーの主役みたい。
最も典型的なノーマルど真ん中タイプの人で、そんな人が憧れた先輩はなんだか安全でおしゃれな世界の住人のようだ。
2人は交わっているのに、住む世界はもう違う円の中みたい。

現実の中でフツーの人とすれ違う時、実は壮絶な戦いの中にあるのかもしれない。

他の人のレビューによく『熱い』という表現があったけど自分には観終わってすぐ、今のところまだイマイチぴんとこない。
その言葉、その通りで異論は無いのに何故か1番目には来ない。しっくり来ない。

この作品を観て宮本カッコいい!と感激した人が『彼女がその名を知らない鳥たち』の阿部サダヲを観たらどんな形容詞をつけるのか興味ある。
宮本カッコいい!と思う気持ちに共感6割、わかるけどあまりそう思いすぎて欲しくないような気持ちが4割。何故か。

いずれにせよカッコ悪さ、弱さの1光年先にある爆発的な強さを夢見る。
ロールモデルが無いより良いのかな。


追記
後にも先にも記憶に残るくらい『カッコいいぃぃ!!!』と思ったのは紅の豚のポルコロッソなんだけどなんでそこまで思ったのかは忘れた。
ねむ

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