このレビューはネタバレを含みます
殺し屋に自分の殺害を依頼する、売れない小説家の話。
「自殺願望のある男が、殺し屋に自分の殺害を依頼する」…って、どこかで聞いた事のある話だな~と思ったら、カウリスマキの『コントラクト・キラー』がそうでしたね。
恋人が出来て死にたくなくなるのも同じだし、これってパク…いや、リメイク作品なのかと思いきや、特にそういった記述は見当たらず。
やっぱり、パク…(以下略)
そんなわけで、『コントラクト・キラー』と比較して見てしまったのですが、個人的には『コントラクト・キラー』の方が好きかな。
本作は主人公が若いせいか、あんまり不幸には見えなかったし、本気で自殺をしたい様にも見えませんでした。
精々中二病を拗らせた感じにか見えないというか、端的につまらなかったです。
あとはギャグの部分も、イギリス的なブラックなユーモアよりも、カウリスマキのオフビートなユーモアの方が好み。
一方で本作の方が良かったと感じるのは、殺し屋周りの描写ですね。
おそらく『ジョン・ウィック』の影響なんだろうけど、殺し屋の組織が会社の様な形態になっていたり、殺し屋の所帯染みた日常描写といった辺りは、パロディ的な面白さがあって良かったと思います。
ビジュアルやキャラクターもポップで、若い人には見易い作品なんだろな~と思いつつも、その軽さ故に、私にはあまり印象に残るものがなかったなと。
別に『コントラクト・キラー』が大好きってわけではないのですが、それでも、あの作品から放たれていた強烈なペーソスは記憶に残ってるし、それ故に愛しい映画だったなという印象も残っている。
やっぱり万人向けの映画よりも、見る人を選ぶ尖った映画の方が、心に残り易いのかもしれません。