にしやん

やっぱり契約破棄していいですか!?のにしやんのレビュー・感想・評価

3.0
小説家志望の青年と落ちぶれた殺し屋のともに人生をかけた1週間を巡るドタバタ追走劇や。自殺志願の若者が引退間近の初老の暗殺者に「自分殺し」を依頼するっちゅう、イギリスらしいブラックコメディでもある。とにかく運がええ男ととにかく運が悪い殺し屋との攻防が緩うに描かれとるわ。

主人公の青年の死にたい理由があんまりはっきりせえへんのがもひとつやけど、全体として笑えんこともないかな。ちょっとけったいな緊張感もあるし。暗殺者組合やとか、組合で成績トップの暗殺者が結構間抜けなんもおもろいかな。

演出的には、会話に単純な切り返しが多いんと、セリフの間の取り方が少し長いんが気になったわ。この辺もうちょっと上手いこと演出してたらもうちょっと笑えんのにな。惜しいわ。

それと、コメディもんやしブラックユーモア満載のオフビート系やっちゅうんは分かんねんけど、全体を通してトーンが緩過ぎてて、死の重さまでも軽なってしもてる印象や。そやさかい、主人公にしても、殺し屋にしてもいまひとつ緊張感とか必死さみたいなもんが見えてこうへん。ただ、緩いだけや無しに、もうちょっとメリハリをつけんといかんのとちゃうかな。シリアスなとこはもうちょっとシリアスにするとか工夫してほしかったわ。

それに展開にしたかて、主人公と殺し屋との追跡劇や攻防でとことんいくんかと思たら、途中からは完全にヒロインとのロマンスに比重を移すんもどうなやろな。狙いとして分からんことはないけど、安直というか、何ちゅうか。コメディっぽさは明らかに減退しとる。せやけど、ヒロインまあまあかわいいし、なかなかキリっとしとって格好ええさかい、まあええか。

ラストやけど、大変シニカルな結末。主人公と殺し屋とが最後まで対照的やったんは良かったわ。中途半端なお涙頂戴にせえへんかったところも評価。ホンマに最後どうなったか分からん余韻も割と好きや。
にしやん

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