イチロヲ

レイプハンター 狙われた女のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
流産の衝撃を抱えている若妻(岡本ひろみ)が、強姦魔(林ゆたか)の子供を宿したのを契機にして、犯罪グループの片棒を担ぐことになってしまう。出産を願う気持ちが災いして、人生が暗転する女性の姿を描いている、日活ロマンポルノ。

主人公を襲撃する強姦魔は「前科もち」であることが足枷となり、自暴自棄に苛まれている厭人家として描かれる。そして、その青年と接触した主人公もまた、「妊娠・出産」を渇望する女性心理が足枷となり、転落を辿ることになる。

端役では、青年と固い友情で結ばれているバーの店長(草薙良一)、ドラッグ中毒になっている青年の妻(木瓜みらい)が、犯罪行為をしなければ生きていけない、最底辺部の人間を鮮やかに表現している。

本編はオーソドックスなハード・サスペンス路線。刺々しさとギラついた雰囲気に満ち足りており、取って付けたようなアメリカン・ニューシネマ感に笑いを誘われる。無闇に保険を押し付けてくるサイコな勧誘員(松田優作、セリフはアドリブ)にも注目。
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