マクガフィン

おかあさんの被爆ピアノのマクガフィンのレビュー・感想・評価

おかあさんの被爆ピアノ(2020年製作の映画)
3.0
就職前に将来について漠然とした大学生・ヒロインが自身のルーツを辿り、シュチュエーションの移り変わりと共に被爆に影響された人生を送った祖母や母親のことを知りながら、自身の成長に。

時折、被爆二世の差別的な扱いや、原爆の結果を暈すことで想像を喚起させることに感心するが、作中のヒロインと同様に〈自分で調べて感じてね〉のスタンスは映画で情報を得たい者からすると物足りない。ロードムービー的な構成も余り上手くないのでドラマ要素の演出は物足りないし、祖母と母親のピアノが関連するエピソードの弱さは否めない。

それでも、ヒロインを導く佐野史郎の抑制が効いた演技が効果的で、母親の被爆二世の差別を受けたトラウマによる、原発による何重への被害が印象的に。未来へ繋ぐリフレインされる音楽が迫り、感情が揺さぶられることに。