【あらすじ】
ある資産家が頭にビニール袋を被り首にテープを巻いた状態で死んだ。その家に長年務めていた家政婦が殺人容疑で逮捕されるが、家政婦は資産家が自殺をしようとしていたのを助けようとしていたと主張。容疑者の弁護を引き受けることになった弁護士スノは、事件に唯一の目撃者がいることを知る。それは資産家の向かいの家に住む自閉症の少女ジウだった。
スノは容疑者を救うべくジウを証人として法廷に立たせようとするが、そもそも未成年の自閉症の少女の目撃証言が法的な証拠として信頼に足るものなのか？幾度かの法廷での検証を試みるなかで、事件は思わぬ方向に向かいだす──。
【感想】
法廷サスペンスでありながら、殺人事件の目撃者となった自閉症の少女と立場上対立関係にある容疑者の弁護士との心の交流とそれぞれの立ち位置故の葛藤を丁寧に描いた人間ドラマでもあります。
上映劇場で予告編を観て、設定の面白さとジウ役のキム・ヒャンギちゃんが気になって観ることにしたのですが、予想以上に面白かった！面白すぎて翌日にもう一度観に行ってしまいました。
ミステリー的な要素はほぼ無いけど、東野圭吾の新参者シリーズに近い雰囲気があったな。
最初は警戒心丸出しだったジウが、スノの障害に偏見を持たない気さくさと優しさ(仕事上必要なことではあるのだけど)に触れて、徐々に心を開いていく下りは見ていて微笑ましい。
行動や仕草が幼児のようにしか見えないジウが一般に知られている自閉症とは異なった優れた頭脳と能力の持ち主であることをスノはあることをきっかけに知るのだが、実はこのやり取りの中に事件の謎を解き明かす伏線が観ている我々に気づかれないようにさりげなく入れられてる。
それらはクライマックスの法廷シーンで回収されると同時に、障害者に対する無意識の偏見が存在することを、スノを通して観ている観客にも知らしめるようになっていて、気づいた時にはこの脚本の巧みさに思わず「やられた！」と唸りました。
