しょうた

福島は語るのしょうたのレビュー・感想・評価

福島は語る(2018年製作の映画)
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たくさんの語りの中で最も心に響いたのは県内に避難した学校の先生の語りだった。誰もが故郷に愛着や誇りを持っているとは限らない。しかし、生まれ育った土地から突然追い立てられ、その土地の名すら隠し続けなくてはならない、それが福島の原発事故の被災地の子どもたちの置かれた現実なのだということ。軽やかに話そうとする先生の語りから生徒たちへの思いがあふれていて、涙なしには見られなかった。
「復興」の掛け声の影でほとんど世間では気づかれもしない無数の傷がある。閉鎖的な社会のあり方は傷を癒すどころか広げてしまっている。
避難した人としなかった人との対立も語られる。社会の歪みが弱いところに皺寄せされるように。
何もできないが、せめて今年も農家のお手伝いに福島を訪ねよう。

インタビューだけで観る者に体験を共有させる長編ドキュメンタリーのつくりは、ランズマンの「SHOA H」を連想させる。
GW 恒例のメイシネマ映画祭で鑑賞。なつかしい人たちと会うこともできた。
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