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母との約束、250通の手紙のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

母との約束、250通の手紙(2017年製作の映画)
3.5
フランスの作家(映画監督、外交官でもあった)ロマン・ガリが1960年に発表した自伝的小説『夜明けの約束』をエリック・バルビエ監督が再映画化したヒューマン・ドラマ。
原題:La Promesse del'aube(「幼少期の約束」と訳した方がいいかも)

息子を溺愛し過剰な期待をするユダヤ系ポーランド人ニーナを演じたシャルロット・ゲンズブールの個性が光る。
母親の期待に押し潰されそうになりながらも母親を愛し逆らえない息子を演じた ピエール・ニネも好演。
バルビエ監督は、シリアスになりがちなテーマを、時にユーモアを交えながら(フランスらしく女性関係もたくさん入れて)、しっかりしたヒューマン・ドラマに仕上げている。
250通の手紙の意味は見てのお楽しみ。
なお、1970年のジュールズ・ダッシンの監督作『夜明けの約束』は見ていない。

「人生の夜明けに叶わぬ約束を与えられた者は、残りの人生を不遇に生きることになる。自分を抱き締める女の腕も弔辞の意味しか持たない。……なぜなら、愛の泉はとうに飲み干され空っぽなのだから」

~ロマン・ガリの簡単な経歴を参考までに~
・1914年に、当時ロシア帝国領だったヴィリナ(後のポーランド第二共和国のヴィルノ、現在のリトアニアの首都ヴィリニュス)でユダヤ人女性ニーナの1人息子として生まれる。
・14歳の時、母と共にニースに移住し、フランスに帰化。
・第二次世界大戦に出征。
・終戦後、フランス外務省に勤務し、ブルガリア、スイス、アメリカの大使館参事官、ロサンゼルス駐在領事を務める。
・1956年『自由の大地 天国の根』(ロマン・ガリー名義)と1975年『これからの一生』エミール・アジャール名義)で、2度ゴンクール賞を受賞。
・最初の妻は、映画に登場するレスリー・ブラチ (1944–1961)、
・女優のジーン・セバーグと結婚(1962–1970)、
『ペルーの鳥』の監督など映画界でも活躍。
・『レディL』『これからの人生』なども映画化。
・1980年12月2日、遺書を残し拳銃自殺。
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